令和4年度第4号 「思い」を話すことができる子ども(小林央美 委員)
「思い」を話すことができる子ども
意見表明権を行使できる子どもたちを育む
日本の子どもたちの自己肯定感の低さや、諸外国に比して幸福度が低いことが指摘されています。これらについて、子どもが「意見表明権を行使」できたら、少しはより良い方向へ進むことができるのではないかといつも思います。
そこで、今回から3回にわたり、「意見表明権を行使できる子どもを育む」ことについて考えてみたいと思います。
どうしようもなく固まってしまった若者を前に
今年の5月頃だと思います。その日、私は、バスの最前列、料金入れの真ん前に座っていました。バスを降りようとした男子高校生が、料金入れの前であわて出しました。何と、財布も携帯電話も・・大事なものを一切学校に忘れて来たようでした。同じバスに乗り合わせた友人もいないようです。「財布を忘れました」と言ったきり、どうしようもない様子で固まってしまっています。対応している運転手さんも、無賃乗車を見過ごすわけにもいかず、無言の数秒が過ぎました。
若者を信じるよ
次の瞬間、私は、財布からお金を出し、「いくら?若者を信じるよ・・・」と言っていました。お金を受け取り、黙って頭をさげた高校生のほっとした様子の表情が忘れられません。私も、何だかほっとしました。子ども達はもしかすると、こんな大人との些細なやり取りの中で、気持ちを開いていくのかも知れないと思いました。
いい人だあ
目の前を5~6人の高校生のグループが歩いています。野球部の練習を終えて帰路にあることがうかがえました。ふと、その中の一人が、折り畳み傘の袋を落としました。思わず、「落としましたよ」と声をかけると、一斉に、高校生が振り返りました。そして、その中の一人が私の方に歩み出て、「いい人だあ・・」と言い、みんなを振り返りながら「いいおばさんだなあ・・」と皆に同意を求めるしぐさをしました。そして、一斉にみんなで「どうも・・」と言ってくれたのでした。
こんな大人とのやり取りの積み重ねが、子どもが意見を表明できる人的環境となるのではないかと考えた瞬間でした。次回、もう少し、掘り下げて考えていきたいと思います。
子どもの権利擁護委員 小林 央美
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