霊山、りょうぜん。福島県の北東部、伊達郡霊山町と相馬市の境にある、美しさの中に厳しさをたたえた神秘的な山です。標高825m。慈覚大師の命名と伝えられるこの山には、霊山寺(天台宗)がありました。また、北畠顕家が城を構えたところです。
14世紀前半、成功したかにみえた後醍醐天皇の新政は、足利尊氏の離反により、もろくも崩れさりました。多賀国府(多賀城にあったと考えられてきましたが、近年ではほかの地域を求める説も出ています)にいた北畠顕家は、延元2年(1337)正月に拠点を霊山に移しました。もっとも顕家がこの山城にいたのは半年余りのこと、8月には尊氏を討つため西征の途につきました。
霊山には福島駅前から福島交通のバスに乗り、“行合道・YUKIAIDO”で下車するのがよいでしょう。マイカーの場合、国道115号を東に進むと、霊山の真下まで行くことができます。駐車場は奇岩を望む地点にあります。「霊山登山口」と記した標石から登りは2時間程度、最初の急斜面にやや苦しみますが、上部はほぼ平坦です。
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顕家が城を構えた霊山 |
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北畠一族を祀る霊山神社 |
【浪岡町史編さん室長 佐藤仁】
『広報なみおか』平成11年(1999)6月1日号に掲載
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