○青森市男女共同参画推進条例
平成三十年三月二十三日
条例第二号
目次
前文
第一章 総則(第一条―第三条)
第二章 責務(第四条―第八条)
第三章 基本体制(第九条―第十八条)
第四章 基本的施策等(第十九条―第二十五条)
第五章 ドメスティック・バイオレンスの防止等(第二十六条―第二十八条)
第六章 禁止事項等(第二十九条―第三十二条)
第七章 雑則(第三十三条)
附則
前文
八甲田山、陸奥湾に代表される雄大な自然に恵まれた青森市は、先人たちが、その恵みのもとで、三内丸山遺跡、浪岡城跡、ねぶた祭に代表される歴史や文化を育み、豊かで住みよいまちを築くため、力を合わせ努力を重ね、発展を遂げてきました。
そのなかで、私たちは、先人たちの絆と思いを受け継ぎながら、全ての人が、性別、世代、時代を超えて、分け隔てなく、一人の人間として尊重され、互いに協力し、人を信頼できる誇り高い人間であってほしいという、強い思いを込めて、平成八年十月二十二日に「男女共同参画都市」青森宣言を行い、男女共同参画社会の実現に向けて、取組を着実に進めてきました。
しかしながら、性別による固定的な役割分担意識とそれに基づく社会制度や慣行は依然として根強く残っており、男女の平等が十分に実現されているとは言えない状況にあります。また、少子高齢化の進展、経済活動の成熟化等の社会経済情勢の変化に対応していくためには、男女共同参画の推進に、より一層取り組んでいく必要があります。
このような状況を踏まえ、全ての人が、個人としての尊厳が重んじられ、誇りを持ってその個性と能力を十分に発揮することができ、互いに支え合いながら対等に参画できる男女共同参画社会の実現を図るため、この条例を制定します。
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市及び市民等の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画の推進に関する施策(以下「男女共同参画推進施策」という。)を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の実現を図ることを目的とする。
一 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
二 ワーク・ライフ・バランス やりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、仕事並びに家庭、地域及び個人生活における様々な活動について、自らが希望する調和が図られた状態をいう。
三 市民 市内に居住し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。
四 事業者 市内に事務所、事業所等を有し、事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。
五 教育関係者 市内の学校、地域、家庭その他社会のあらゆる分野において行われる教育又は保育に携わる者をいう。
六 市民団体 主たる構成員が市民又は事業者である営利を目的としない団体(事業者を除く。)をいう。
七 市民等 市民、事業者、教育関係者及び市民団体をいう。
八 ドメスティック・バイオレンス 配偶者等の親密な関係にある、又はあった者による身体的暴力、精神的若しくは性的な苦痛を与える言動又は経済的な優位性に基づいて苦痛を与える言動をいう。
九 積極的改善措置 第一号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(基本理念)
第三条 男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一 全ての人が、個人としての尊厳が重んじられること、性別に起因する差別的取扱いを受けないこと、個人としての能力を発揮する機会が確保されることその他の人権が尊重されること。
二 性別による固定的な役割分担意識に基づいた社会の様々な制度又は慣行によって、個人の活動が制限されることなく、自らの意思により多様な生き方を選択することができること。
三 男女が社会の対等な構成員として、市における政策又は事業者若しくは市民団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
四 男女の相互協力と社会の支援の下、ワーク・ライフ・バランスが保たれること。
五 性別及び性に関する理解を深め、妊娠、出産その他の性と生殖に関する個人の意思を尊重し、生涯にわたり安全で健康な生活を営むことができるよう配慮されること。
第二章 責務
(市の責務)
第四条 市は、基本理念にのっとり、男女共同参画推進施策を総合的に策定し、実施する責務を有する。
2 市は、男女共同参画推進施策を実施するに当たり、市民等、国及び他の地方公共団体と連携するものとする。
(市民の責務)
第五条 市民は、基本理念にのっとり、男女共同参画についての理解を深め、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、主体的かつ積極的に男女共同参画を推進するよう努めなければならない。
2 市民は、市が実施する男女共同参画推進施策及び男女共同参画の推進に関する調査に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第六条 事業者は、基本理念にのっとり、その活動において、男女共同参画の推進に努めるとともに、その雇用する労働者が能力を発揮できるよう必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 事業者は、その雇用する労働者がワーク・ライフ・バランスを実現できる職場環境を整備するよう努めなければならない。
3 事業者は、市が実施する男女共同参画推進施策及び男女共同参画の推進に関する調査に協力するよう努めなければならない。
(教育関係者の責務)
第七条 教育関係者は、男女共同参画の推進に果たす教育の重要性を認識し、基本理念にのっとり、教育又は保育を行うよう努めなければならない。
2 教育関係者は、市が実施する男女共同参画推進施策及び男女共同参画の推進に関する調査に協力するよう努めなければならない。
(市民団体の責務)
第八条 市民団体は、基本理念にのっとり、その活動に当たっては、男女共同参画に配慮するよう努めなければならない。
2 市民団体は、市が実施する男女共同参画推進施策及び男女共同参画の推進に関する調査に協力するよう努めなければならない。
第三章 基本体制
(男女共同参画計画)
第九条 市長は、男女共同参画推進施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定しなければならない。
2 市長は、男女共同参画計画を定め、又は変更しようとするときは、市民等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、青森市男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。
3 市長は、男女共同参画計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(年次報告)
第十条 市長は、毎年度、男女共同参画計画に基づく施策の推進の状況に関する報告書を作成し、これを公表するものとする。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第十一条 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念に配慮しなければならない。
(推進体制等)
第十二条 市は、男女共同参画推進施策を総合的かつ計画的に実施するために、必要な体制を整備するものとする。
2 市は、男女共同参画推進施策を進めるために、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(青森市男女共同参画審議会の設置)
第十三条 この条例の規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか、市長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する重要事項を調査審議するため、青森市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(組織)
第十四条 審議会は、委員十人以内をもって組織する。この場合において、男女いずれか一方の委員の数は委員の総数の十分の四未満であってはならない。
2 委員は、男女共同参画の推進に関し識見を有する者その他市長が必要と認める者のうちから、市長が委嘱する。
(任期等)
第十五条 委員の任期は、二年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
3 市長は、委員が前項前段の規定に違反したことが判明したとき、又は職務の遂行に必要な適格性を欠くと認めるときは、これを解嘱するものとする。
(会長及び副会長)
第十六条 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によってこれを定める。
2 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第十七条 審議会の会議は、会長が招集し、会長が会議の議長となる。
2 審議会の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。
3 審議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
4 会長は、必要があると認めるときは、委員以外の者を会議に出席させ、説明又は意見を求めることができる。
5 前項に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。
(資料提出の要求等)
第十八条 審議会は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、市長に対し、調査審議に必要な資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
第四章 基本的施策等
(市民等への普及活動)
第十九条 市は、男女共同参画の推進について、市民等の理解を深めるため、広報活動及び普及活動を行うものとする。
2 市は、広く男女共同参画の推進への取組が積極的に行われるよう、毎年十月を男女共同参画推進月間とし、重点的な普及活動を行うものとする。
(拠点施設の機能充実等)
第二十条 市は、男女共同参画推進のための拠点施設の機能を充実し、その活用の促進に努めるものとする。
(情報の収集及び調査研究等)
第二十一条 市は、男女共同参画推進施策を効果的に実施するため、必要な情報(国際社会における男女共同参画の推進に関する取組に係る情報を含む。)の収集及び調査研究を行うものとする。
(市民等の活動への支援)
第二十二条 市は、市民等が男女共同参画の推進に関して行う活動について、情報の提供その他必要な支援を行うものとする。
2 市長は、男女共同参画の推進に関する取組を積極的に行う市民等に対し、表彰を行うものとする。
(積極的改善措置)
第二十三条 市は、社会のあらゆる分野における活動において、男女間に参画の機会の格差が生じている場合は、市民等と協力して、積極的改善措置が講ぜられるよう努めるものとする。
2 市長その他の執行機関は、その設置する附属機関の委員を任命し、又は委嘱する場合には、男女の数の均衡を図るよう努めるものとする。
(人材育成)
第二十四条 市は、男女共同参画を推進する人材を育成するための教育及び研修の機会の充実に努めるものとする。
(災害対応における配慮)
第二十五条 市は、災害等への対応(災害等の発生に備える対策を含む。)においては、男女共同参画の視点に配慮するものとする。
第五章 ドメスティック・バイオレンスの防止等
(DV防止計画)
第二十六条 市長は、ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する基本的な計画(以下「DV防止計画」という。)を策定しなければならない。
2 市長は、DV防止計画を定め、又は変更しようとするときは、市民等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、審議会の意見を聴くものとする。
3 市長は、DV防止計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(配偶者暴力相談支援センター)
第二十七条 市は、配偶者暴力相談支援センター(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成十三年法律第三十一号)第三条第二項(同法第二十八条の二において準用する場合を含む。)の配偶者暴力相談支援センターをいう。)としての機能を果たすよう努めるものとする。
2 前項の規定に関し必要な事項は、DV防止計画で定める。
(被害者の緊急時における安全の確保)
第二十八条 市は、ドメスティック・バイオレンスを受けた者(以下「被害者」という。)からの申出があったときは、必要に応じて、被害者(被害者の同伴する家族を含む。)の安全の確保を行うものとする。
第六章 禁止事項等
(性別及び性に起因する人権侵害の禁止)
第二十九条 何人も、性別及び性に起因する差別的な取扱い、ドメスティック・バイオレンス、セクシュアル・ハラスメント(相手の意に反する性的な言動によってその者に不快感を与えること、性的な言動により当該言動を受けた者の生活環境を害すること又は性的な言動を受けた者の対応によりその者に不利益を与えることをいう。)その他の性別及び性に起因する人権侵害を行ってはならない。
(情報の表示に関する留意)
第三十条 何人も、広報、報道、広告等において、性別による固定的な役割分担及び暴力を助長する表現並びに人権侵害を助長する表現を用いないよう努めなければならない。
(相談申出への対応)
第三十一条 市長は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められることに関し、市民等から相談があったときは、関係機関と連携し、適切に対応するものとする。
(苦情申出への対応)
第三十二条 市長は、市が実施する男女共同参画推進施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、市民等から苦情の申出を受けた場合は、適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 前項の場合において、市長は、必要があると認めるときは、審議会の意見を聴くことができる。
第七章 雑則
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成三十年四月一日から施行する。
(青森市特別職の職員の給与に関する条例の一部改正)
3 青森市特別職の職員の給与に関する条例(平成十七年青森市条例第四十九号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(青森市費用弁償条例の一部改正)
4 青森市費用弁償条例(平成十七年青森市条例第五十号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略