あおもり今・昔10

桜と講

 いま青森市内の桜の名所といえば代表的なものとして、「合浦公園」・「野木和公園」・「横内浄水場」・「桜川団地の並木」・「浅虫山」・「三内霊園」があげられよう。
 特に「合浦公園」は、松と桜そして海という臨海公園として知られ、観桜会は多くの店や小屋掛のサーカス・お化け屋敷などが設けられる、春の最大の行事である。園中央にある「音楽堂」では、楽隊の演奏がされ、海に近い「東屋(函館戦争時に台場として造られた)」からの景観も素晴らしいものであった。
野木和公園の桜
▲野木和公園の桜
 この他に桜の名所として意外に知られていないのが、「久栗坂の観音寺」である。久栗坂というよりも“ザル石”と呼ばれた所で、寺の山門近くに「(ザル)」を立てたような形の石が据えられていることから、名付けられたものである。寺の裏は丘になっていて、そこには「津軽三十三観音」が配置されている。これはそこにお参りをすれば、津軽地方にある三十三の観音様を巡ったのと同じく功徳が得られるとされているもので、多くの信者がお参りしたものである。これと似たものに野木和公園に続く「八十八ヶ所巡り」がある。これも「四国八十八ヶ所巡り」を模したものである。
 以前はこの「八十八ヶ所巡り」のように、ひとつの信仰を同じくする人たちのさまざまな『(こう)』があった。「観音講」・「地蔵講」・「太師講」・「念仏講」などがあって、例祭の日には、講中の人が集まって行事をし、その後、それぞれ持ち寄ったごちそうを食べながら・・・というコミュニケーションの場があった。
【民俗部会調査協力員 三上強二】

※『広報あおもり』1997年12月15日号に掲載


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