以前はたいていの家で炉を使っていて、そこでは炭を燃料としていた。そして『
ある年に、人間国宝の故浜田庄司さんが蔦温泉に宿泊したことがあったが、その際帳場の炉に吊っていた『鉤の華』の素晴らしさに、「それを買い求めたいので紹介してほしい」と主人に依頼した。ところが注文した品がなかなか完成しない。それから3年後、蔦温泉を訪れた際に聞きただしたところ、主人が言うには「考えてみると注文した先が悪かった。何しろ製造している人の名がコンドウ・フクゾウ(近藤福蔵)という人なので、何度催促してもコンド・フクゾウ(今度ふくぞう)と言うだけで、今になってしまった」・・・ということだった。当時は、鋳物を造ることを「ふく」と言ったのにかけてのことで、大笑いしたことであった。 【民俗部会調査協力員 三上強二】 ※『広報あおもり』1998年1月1日号に掲載 |