○青森地域広域事務組合火災調査規程
平成27年3月25日
規程第20号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 調査の実施(第4条―第9条)
第3章 現場の見分(第10条―第14条)
第4章 照会(第15条)
第5章 資料の収集・保管(第16条・第17条)
第6章 調査記録(第18条―第22条)
第7章 損害調査(第23条・第24条)
第8章 雑則(第25条―第28条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにして火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(1) 火災とは、人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 建物火災とは、建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
ア 建物とは、土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物に設けた事務所、店舗、興業場及び倉庫その他これらに類する施設(貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいう。
イ 収容物とは、原則として柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物をいう。
(3) 林野火災とは、森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。
ア 森林とは、木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹と、これらの土地以外で木竹の集団的な生育に供される土地(主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。)をいう。
イ 原野とは、雑草、灌木類が自然に生育している土地で人が利用しないものをいう。
ウ 牧野とは、主として、家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。
(4) 車両火災とは、自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。
ア 自動車車両とは、イの鉄道車両以外の車両で、原動機によって運行することができる車両をいう。
イ 鉄道車両とは、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)における旅客又は貨物の運送を行うための車両又はこれに類する車両をいう。
(5) 船舶火災とは、船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
ア 船舶とは、独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船及びはしけ等をいう。
(6) 航空機火災とは、航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
ア 航空機とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船等の機器をいう。
(8) 爆発とは、人の意図に反して発生し、又は拡大した爆発現象をいう。
ア 爆発現象とは、化学的変化による爆発の1つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱とを発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。
(9) 発火源とは、出火に直接関係し、又はそれ自体から出火したものをいう。
(10) 経過とは、出火に関係した現象、状態又は行為をいう。
(11) 着火物とは、発火源によって最初に着火したものをいう。
第2章 調査の実施
(調査の区分)
第4条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分する。
2 火災原因調査は、次に掲げる事項を究明するために行うものとする。
(1) 出火前の状況
(2) 出火原因
(3) 延焼拡大の状況
(4) 初期消火等の状況
(5) 避難の状況
(6) 消防用設備等の状況
(7) 死傷者の状況
(8) その他必要事項
3 火災損害調査は、次に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 焼き損害
(2) 消火損害
(3) 爆発損害
(4) 人的損害(火災による死者及び負傷者)
(調査責任)
第5条 消防長及び消防署長(以下「消防長等」という。)は、調査の責任を有する。
2 調査については火災を防御した場所を管轄する消防署長(以下「署長」という。)が行う。ただし、特に必要があると認めたときは、消防長が行うものとする。
(調査体制の確立)
第6条 消防長等は、調査に必要な人員及び調査用資器材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。
2 消防長は、火災の形態により調査を機動的かつ効果的に実施するため、特に必要があると認めるときは、調査本部を設置することができる。
3 前項の調査本部の組織、編成等について必要な事項は、別に定める。
(調査の実施)
第7条 消防長等は、火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。
2 消防長は、消防本部職員の中から調査員を指定し、調査に従事させるものとする。
3 消防署長は、消防署職員の中から調査員を指定し、調査に従事させるものとする。
4 消防長等は、特に必要があると認めるときは、前2項の調査員以外の職員を調査に協力させるものとする。
(調査員の心得)
第8条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次の事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員は、調査の指揮にあたる責任者の指示に従うとともに、調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。
(2) 調査員は、調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、個人の自由又は権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならないこと。
(3) 調査員は、関係のある場所へ立ち入るときは、原則として関係者の立会いを得ること。
(4) 警察機関その他関係機関とは密接な連絡をとり相互に協力して調査を進めること。
(調査の原則)
第9条 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく、人的及び物的調査並びに科学的な方法による確認と合理的な判断の上に立ち事実の立証に努めなければならない。
第3章 現場の見分
(現場の見分)
第10条 消防隊、救助隊及び救急隊(以下「消防隊等」という。)並びに調査員は、火災現場に出向いた場合において、消火活動中における火煙の色、臭い、燃焼音、延焼経路、その他関係者の言動等を見聞したときは、現場指揮者及び調査の指揮にあたる責任者に報告しなければならない。
2 調査員は、火災現場を見聞し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。この場合、原則として関係者の立会いのもとに行うものとする。
3 調査員は、火災状況の見聞内容を明確にするため、写真等により記録するよう努めなければならない。
4 調査員は、実況見分及び関係者への質問等による事実に基づき現場の復元を行うよう努めなければならない。
(現場の保存)
第11条 消防長等は、消火活動が終了したときは、所要の措置を講じた上で現場保存しなければならない。ただし、調査上その必要がないと認めたときは、この限りでない。
2 調査員は、常に現場指揮者と緊密な連絡を保ち、出火したと思われる場所及びその付近の現場保存に努めなければならない。
3 現場指揮者は、前項の規定により調査員から連絡があったとき、又は出火したと思われる場所及びその付近の消防活動を行うときは、細心の注意を払い現場保存に努めなければならない。
4 現場指揮者は、残火鎮圧のため出火したと思われる場所及びその付近の物件を移動し、又は原状を変更する場合は、事後の調査に支障をきたさないように処理しなければならない。ただし、調査員及び関係機関が調査上その必要がないと認めたときは、この限りでない。
(死者等の扱い)
第12条 消防隊等は、火災現場において死者等を発見した場合は、必要な措置を講じて、現場指揮者及び調査員並びに所轄警察署に通報しなければならない。
(質問)
第13条 調査員は、関係者に質問し、火災原因の判定資料となる事実の把握に努めなければならない。
2 質問は、申述を誘導するなど必要以上に行ってはならない。
4 火災関係者が、少年法(昭和23年法律第168号)に定める少年(以下「少年」という。)である場合は、次の事項を考慮しなければならない。
(1) 少年の将来を考慮し、温情と理解をもって接すること。
(2) 少年は、実況見分の立会人としてはならないこと。
(3) 少年に対する質問は、保護者等の立会人をおいて行わなければならないこと。
(4) 調査書類には、少年の署名を求めてはならないこと。
5 前項の規定にかかわらず、調査を行うため特に必要があると認めるとき、又は年齢、心情その他諸般の事情を考慮して支障がないと認めるときは、一般の例により行うことができる。
6 少年が関係する火災の情報を報道機関等から求められた場合は、その少年に関する事項を公表してはならない。
第4章 照会
(照会)
第15条 消防長等は、火災原因調査に必要があるときは、関係機関に対し、必要な事項の通報を求め、又は照会することができる。
第5章 資料の収集・保管
3 資料提出者が、資料の返還を求めたときは、資料保管書と引換に、返還しなければならない。
(鑑識・鑑定)
第17条 消防長等は、火災原因調査に必要があり、公的機関に鑑識・鑑定を依頼する場合は、鑑識・鑑定依頼書(様式第8号)により依頼するものとする。
第6章 調査記録
(調査記録)
第18条 調査員は、調査結果を次に掲げる書類に基づき作成し、記録しておかなければならない。
(1) 質問調査書(様式第1号)
(2) 火災調査事項照会書(様式第2号)
(3) 資料提出命令書(様式第3号)
(4) 報告徴収書(様式第3号の2)
(5) 鑑識・鑑定依頼書(様式第8号)
(6) 火災調査書(様式第9号)
(7) 火災原因判定書(様式第10号)
(8) 出火出動時における見分調査書(様式第11号)
(9) 実況(鑑識)見分調査書(様式第12号)
(10) 火災現場写真及び図面
(11) 鑑識・鑑定結果書
(12) 死者の実態調査書(様式第13号)
(13) 火災損害調査兼申告書(様式第14号)
(14) 書類目録(様式第15号)
(15) その他火災原因の判定、損害額の認定の根拠となった資料等
(原因の判定)
第19条 火災原因の判定は、火災の実況見分、質問その他の関係資料等を総合的に検討して行うものとし、人的調査、物的調査及び科学的資料により裏付けるものとする。
(照会等への回答)
第20条 消防署長は、検察庁、警察署、弁護士等から火災調査等に関する照会等の依頼があった場合は、消防長の決裁を受け、回答するものとする。
(即報)
第21条 消防署長又は予防課長は、特異火災と認めた場合は、その概況を消防長に即報しなければならない。
2 第7条第3項に規定する調査員は、火災原因に関する調査記録書を作成した場合は、署長に調査を完了した旨報告し、署長は、その調査結果を消防長に報告しなければならない。
第7章 損害調査
(損害の調査)
第23条 火災損害調査を行うときは、り災物件を詳細に調査し、損害の把握に努めなければならない。
2 損害額の算定基準は、火災報告取扱要領(平成6年4月21日消防災第100号消防庁長官通知)に基づかなければならない。
2 り災証明書は、消防分署で交付することができる。
第8章 雑則
(書類の省略)
第25条 部分焼又はぼや火災に準ずる火災で原因が明白な場合は、調査書類の作成を一部省略することができる。ただし、消防長等が特に必要と認めた場合は、この限りでない。
(書類の保存)
第26条 消防本部予防課は、調査記録書を火災原簿として保管しなければならない。
(大規模災害時の火災調査業務)
第27条 消防長は、地震等その他の異常な自然現象による大規模災害時に発生した火災の調査に対し、組織的な執行体制の確立に努めるものとする。
2 消防長は、大規模災害発生直後から災害活動がおおむね収束するまでは、災害状況の記録及び調査のため情報収集等を主眼に行い、災害活動収束後は、り災証明書発行のため損害調査を優先して実施し、迅速なり災証明事務の対応に努めるものとする。
3 消防長は、災害活動収束後に期間及び地域を限定して、大規模災害に伴う火災を指定するものとする。
4 大規模災害に伴う火災調査においては、第18条に定める調査書類の一部又は内容を省略して作成できるものとし、省略できる調査書類又は内容については消防長が別に定める。
5 大規模災害に伴う火災調査の結果は、火災調査に着手した翌日から起算して90日以内に消防長に報告しなければならない。
(委任)
第28条 この規程に定めるもののほか、調査の実施に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
(施行期日)
この規程は、平成27年4月1日から施行する。
附則(平成29年3月規程第2号)
(施行期日)
この規程は、平成29年4月1日から施行する。
附則(平成31年3月規程第2号)
(施行期日)
1 この規程は、平成31年7月1日から施行する。
(経過措置)
2 この規程の施行の際現に存する従前の規程に定める様式による用紙は、当分の間、これを取り繕い使用することができる。
附則(令和3年3月規程第2号)
(施行期日)
1 この規程は、令和3年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この規程の施行の際現に存する従前の規程に定める様式による用紙は、当分の間、これを取り繕い使用することができる。
附則(令和5年3月規程第1号)
(施行期日)
1 この規程は、令和5年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この規程の施行の際現に存する従前の規程に定める様式による用紙は、当分の間、これを取り繕い使用することができる。