ホーム > 文化・スポーツ・観光 > 歴史 > メールマガジン「あおもり歴史トリビア」 > 「あおもり歴史トリビア」第154号(2015年4月17日配信)
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更新日:2017年3月9日
こんにちは。嘱託員の鈴木です。今年度から市史編さん室が青森市民図書館歴史資料室となりましたので、まずは図書館に関係したトリビアから始めたいと思います。
青森市には戦前、「青森通俗図書館」という私立図書館がありました。これは、東奥日報の記者であった一戸岳逸(いちのへ・がくいつ 1873-1939)という方が、大正7年(1918)に児童図書館として寺町に開館し、やがて一般図書も揃え大正9年に通俗図書館と改称したものです。
青森通俗図書館(昭和11年発行「都市計画 青森市街全図」、歴史資料室蔵)
設立のきっかけは、大正2年の大凶作によって児童の教育に影響が出ていることに心を痛めたことでした。通俗と聞くと、現代ですと雑誌や軽い読み物が置かれているのかと想像してしまいそうですが、明治期から大正10年頃にかけては「社会教育」を「通俗教育」と称しましたので、広く一般市民と児童生徒を対象とした図書館ということを表します。
館則によれば、開館時間は毎日午前9時から午後9時まで、休館日は年末年始と図書整理の約7日間、祝祭日の3日のみ、これを個人の方が運営していたのですから、大変なご苦労だったと思います。この通俗図書館は、昭和7年(1932)末には約2万5700冊の蔵書を持ち、また書籍や資料の収集・閲覧のみならず一戸岳逸氏の編さんした書物の発行も行っていました。
一戸岳逸(『青森市史』別冊 人物編より)
歴史資料室ではこの図書館が発行した『青森寺院志』(昭和9年発行)、『青森寺院志 続』(昭和10年発行)を所蔵しています。これらは復刻版が出版されていますが、初版本は全て手書きの謄写刷りで、復刻版にはない「青森市寺院変遷図」などの付図も添えられています。青森市内の寺社について書かれた古い出版物はあまり多くはなく、青森市内・東津軽郡内の寺院・廃寺について書かれたこの本は貴重な資料といえます。以前、函館戦争戦死者の墓地について調べた際にもこの本が役立ちました。(『あおもり歴史トリビア』第80・81号)
『青森寺院志』と『青森寺院志 続』(歴史資料室蔵)
青森市内には、ほかにも有志により設立された図書館がありました。これらについても少しずつご紹介していきたいと思います。
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