○青森市小牧野遺跡の保護に関する条例

平成二十四年十二月二十五日

条例第七十二号

目次

前文

第一章 総則(第一条―第三条)

第二章 重要な保護区域の指定(第四条)

第三章 市の責務(第五条)

第四章 小牧野遺跡保護施設(第六条―第十八条)

第五章 市民等の責務(第十九条)

第六章 雑則(第二十条)

附則

縄文時代の遺跡である小牧野遺跡は、歴史的にも学術的にも貴重な文化遺産である。

この遺跡は、悠久の時を越え、いにしえの時代の精神生活や社会構造を現代の私たちに示してくれている。堤川から採取された多量の大型石の運搬と設置、土地の造成など、往時の土木工事の実態を示す遺構は、私たちの好奇と探究の心をかき立ててやまない。

とりわけ、小牧野遺跡を小牧野遺跡たらしめるのは、その個性的な環状列石にある。それは、石を縦横交互に組み合わせた立体的かつ独特な外観を有し、縄文時代の土木技術上、極めて完成度が高い記念碑的構造物であり、日常の衣食住とは別に膨大な日数と労力をかけて作られ、祭の場として利用されていたと考えられる。

また、小牧野遺跡の価値を高めているのは、環状列石だけではない。住居跡、貯蔵穴、墓など、先人がこの土地に刻んだ活動の記録が数多く遺されている。縄文時代の人々の生活も、現代と同様に、周辺にむ動物や美しき森林、烈々たる川の流れなどがもたらす豊かな恵みによって支えられ、育まれていたのである。

小牧野遺跡は、青く輝く陸奥湾や堤川、緑あふれる八甲田の山並みを眺望できる本市郊外の高台に位置している。豊かな自然に囲まれた、森かんたるこの遺跡は、ここがかけがえのない地であることを物語っている。

私たち市民一人ひとりが、小牧野遺跡を郷土の誇りとして深く認識し、遺跡のみならず周辺区域が、その価値を損なうことなく将来世代へと確実に引き継がれていくことを願い、この条例を制定するものである。

第一章 総則

(平成二六条例三八・章名追加)

(目的)

第一条 この条例は、小牧野遺跡の保護に関し、保護すべき小牧野遺跡の周辺区域を指定し、市及び市民等の責務を明らかにするとともに、小牧野遺跡保護施設の設置及び管理について必要な事項を定めることにより、小牧野遺跡及びその周辺区域の保護の推進を図り、もって市民の文化的向上に寄与することを目的とする。

(平成二六条例三八・一部改正)

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 小牧野遺跡 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第百九条第一項の規定により指定された史跡小牧野遺跡(平成七年文部省告示第二十七号及び平成十三年文部科学省告示第百四十二号)をいう。

 市民等 小牧野遺跡及び第四条の規定により市長が指定する重要な保護区域に土地を所有若しくは占有し、これらの区域に滞在し、又はこれらの区域を利用若しくは通過する者をいう。

(他の法令等との関係)

第三条 小牧野遺跡及び次条の規定により市長が指定する重要な保護区域の保護については、文化財保護法、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)、農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)、景観法(平成十六年法律第百十号)その他の法令及び条例に定めるもののほか、この条例の定めるところによる。

第二章 重要な保護区域の指定

(平成二六条例三八・章名追加)

(重要な保護区域の指定)

第四条 市長は、縄文時代の人々が行った石の採取等による土木工事及びその人々の狩猟、採集、漁労等の日常生活に関連する小牧野遺跡の遺構並びにその周辺区域の良好な自然環境を保護するため、当該周辺区域のうち、別図に定める範囲を、重要な保護区域として指定する。

第三章 市の責務

(平成二六条例三八・章名追加)

(市の責務)

第五条 市は、小牧野遺跡及び前条の規定により市長が指定する重要な保護区域(以下「遺跡周辺一帯」という。)が適切に保護及び活用されるような措置を講ずるとともに、第一条の目的を達成するために、次に掲げる施策を実施するよう努めなければならない。

 小牧野遺跡の保存管理計画に関する施策

 遺跡周辺一帯に関する教育の振興及び学習機会の充実に関する施策

 遺跡周辺一帯に関する情報発信、学術研究及び民間団体等の活動への支援に関する施策

 その他遺跡周辺一帯の保護及び活用に関し、市民等の理解を深めるために必要な施策

2 市は、この条例の運用に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない。

第四章 小牧野遺跡保護施設

(平成二六条例三八・章名追加)

(設置)

第六条 第一条の目的を達成するため、小牧野遺跡保護施設を設置する。

2 小牧野遺跡保護施設(以下「遺跡保護施設」という。)の名称及び位置は、次のとおりとする。

名称

位置

青森市小牧野遺跡保護センター

青森市大字野沢字沢部一〇八番地三

青森市小牧野遺跡観察施設

青森市大字野沢字小牧野四一番地

(平成二六条例三八・追加)

(業務)

第七条 遺跡保護施設は、次に掲げる業務を行う。

 遺跡に関連する実物、模型、文献、写真、図面等の資料の保管、修復及び展示並びに当該展示資料の維持管理に関すること。

 遺跡の保護の啓発に資する学習会、展示会等の開催及びその支援に関すること。

 遺跡保護施設の利用に関すること。

 その他第一条に掲げる目的を達成するために必要な業務

(平成二六条例三八・追加)

(開館時間及び休館日)

第八条 遺跡保護施設の開館時間及び休館日は、利用者の利便性及び遺跡保護施設の運営の効率性を考慮して、教育委員会規則で定める。

(平成二六条例三八・追加)

(使用の許可)

第九条 青森市小牧野遺跡保護センター(以下「保護センター」という。)の会議室、体験学習室又は企画展示室を使用しようとする者は、あらかじめ青森市教育委員会(以下「委員会」という。)の許可を得なければならない。

2 委員会は、前項の許可を与える場合において、管理上必要な条件を付することができる。

(平成二六条例三八・追加)

(使用料)

第十条 前条第一項の規定により保護センターの使用の許可を受けた者(以下「使用者」という。)のうち、第一条の目的以外の目的でこれを使用しようとする者は、別表に定める使用料を前納しなければならない。ただし、市長が特別の理由があると認めるときは、この限りでない。

2 前項の規定により納付した使用料は、還付しない。ただし、市長が特別の理由があると認めるときは、当該使用料の全部又は一部を還付することができる。

(平成二六条例三八・追加)

(使用料の減免)

第十一条 市長は、特別の理由があると認めるときは、前条第一項に規定する使用料を減免することができる。

(平成二六条例三八・追加)

(使用許可の取消等)

第十二条 委員会は、使用の許可を受けようとする者又は使用者(次項において「使用者等」という。)が当該使用につき、次の各号のいずれかに該当する場合は、使用を拒み、又は許可を取り消し、若しくは使用を制限することができる。

 公の秩序又は風俗を害するおそれがあると認めるとき。

 他人に危害又は迷惑を及ぼし、又はそのおそれがあると認めるとき。

 遺跡保護施設の施設、物品若しくは展示品等を損傷し、又はそのおそれがあると認めるとき。

 この条例、この条例に基づく教育委員会規則又は第九条第二項の許可の条件に違反したとき。

 詐欺その他不正の行為により使用の許可を受けたとき。

 集団的又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある組織の利益になると認めるとき。

 その他施設の管理運営上支障があると認めるとき。

2 前項の場合において、使用者等に損害があっても、市長はその責めを負わない。

(平成二六条例三八・追加)

(特殊物件の搬入等)

第十三条 使用者は、保護センターの使用に当たって特別の施設若しくは設備を設け、又は特殊物件を搬入するときは、あらかじめ委員会の許可を受けなければならない。

(平成二六条例三八・追加)

(権利譲渡等の禁止)

第十四条 使用者は、その権利を他に譲渡し、又は転貸してはならない。

(平成二六条例三八・追加)

(指定管理者による管理)

第十五条 遺跡保護施設の管理は、青森市公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例(平成十七年青森市条例第三十号)に基づき委員会が指定する者(以下「指定管理者」という。)に、これを行わせることができる。

(平成二六条例三八・追加)

(指定管理者が行う管理の業務)

第十六条 指定管理者は、次に掲げる管理の業務を行うものとする。

 第七条第一号に掲げる業務のうち、展示資料の維持管理に関すること。

 第七条第二号から第四号までに掲げる業務の実施に関すること。

 保護センターの使用許可に関すること。

 前号の使用許可に条件を付すること。

 遺跡保護施設の維持管理に関すること。

 その他委員会が必要と認める業務

(平成二六条例三八・追加)

(原状回復)

第十七条 使用者は、保護センターの使用を終了したとき、又は使用許可を取り消されたとき、若しくは使用を停止されたときは、速やかにその使用に係る施設又は物品等を原状に復さなければならない。

2 使用者が前項の義務を履行しないときは、委員会又は指定管理者においてこれを代行し、その費用を使用者から委員会が徴収する。

(平成二六条例三八・追加)

(損害賠償)

第十八条 遺跡保護施設の施設又は物品、展示等を損傷し、汚損し、又は紛失したときは、その損害を賠償しなければならない。ただし、委員会が特にやむを得ないと認めるときは、この限りでない。

(平成二六条例三八・追加)

第五章 市民等の責務

(平成二六条例三八・章名追加)

(市民等の責務)

第十九条 市民等は、この条例の趣旨を踏まえ、遺跡周辺一帯の保護に努めるとともに、市が実施する遺跡周辺一帯の保護に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(平成二六条例三八・旧第六条繰下)

第六章 雑則

(平成二六条例三八・章名追加)

(委任)

第二十条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則定める。

(平成二六条例三八・旧第七条繰下・一部改正)

(施行期日)

この条例は、平成二十五年四月一日から施行する。

(平成二六年九月条例第三八号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において教育委員会規則で定める日から施行する。ただし、第五条の次に章名及び十三条を加える改正規定(第十五条及び第十六条に係る部分に限る。)並びに次項の規定は、公布の日から施行する。

(準備行為)

2 この条例による改正後の青森市小牧野遺跡の保護に関する条例(以下「改正後の条例」という。)の規定による遺跡保護施設の使用に係る申請、許可及び使用料の徴収並びにこれらに関し必要な手続その他の行為は、改正後の条例の施行前においても、施行後の条例の規定の例により行うことができる。

(平成三一年三月条例第二号)

(施行期日)

第一条 この条例は、平成三十一年十月一日から施行する。

(経過措置)

第二条 この条例(第二条、第五条、第十一条、第二十三条、第二十四条、第三十条、第三十四条、第三十六条、第三十七条、第三十九条、第四十二条、第四十三条、第四十五条、第四十六条、第四十八条、第五十条及び第五十二条を除く。)による改正後のそれぞれの条例の規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に許可を受けた使用、利用その他の行為に係る使用料、利用料金その他の料金について適用し、施行日前に許可を受けた使用、利用その他の行為に係る使用料、利用料金その他の料金については、なお従前の例による。

別図(第4条関係)

画像

別表(第十条関係)

(平成二六条例三八・追加、平成三一条例二・一部改正)

使用場所

時間貸し使用料(一時間につき)

会議室

四六〇円

体験学習室

七三〇円

企画展示室

六二〇円

備考

使用のための準備及び原状回復に要する時間は、使用時間に含むものとする。

青森市小牧野遺跡の保護に関する条例

平成24年12月25日 条例第72号

(令和元年10月1日施行)