○青森市犯罪被害者等支援条例
令和七年三月二十四日
条例第一号
(目的)
第一条 この条例は、犯罪被害者等の支援に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等の支援に関する施策の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等の支援に関する施策を総合的に推進し、もって市民が安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
一 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
二 犯罪被害者等 犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族で、市内に住所を有するものをいう。
三 二次被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、当該被害に係る配慮に欠ける他人の言動等により生ずる精神的な苦痛、身体の不調、経済的な損失等の当該犯罪被害者等が受ける被害をいう。
四 民間支援団体 犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和五十五年法律第三十六号)第二十三条第一項に規定する犯罪被害者等早期援助団体その他の犯罪被害者等の支援を行う民間の団体をいう。
五 関係機関等 国、他の地方公共団体、民間支援団体その他の犯罪被害者等の支援に関係するものをいう。
六 市民 市内に居住し、若しくは滞在し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。
七 事業者 市内に事務所、事業所等を有し、事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。
(基本理念)
第三条 犯罪被害者等の支援は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一 犯罪被害者等の個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利が尊重されること。
二 犯罪被害者等が受けた被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に行われるとともに、二次被害が生ずることのないよう十分配慮されること。
三 犯罪被害者等が、被害を受けたときから安心して暮らすことができるようになるまでの間、必要な支援を途切れることなく受けることができること。
2 市は、前項の施策を円滑に実施することができるよう、関係機関等と連携し、及び協力するものとする。
(市民の責務)
第五条 市民は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等の支援の必要性についての理解を深め、二次被害が生ずることのないよう十分配慮するとともに、市が実施する犯罪被害者等の支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第六条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等の支援の必要性についての理解を深め、その事業活動を行うに当たっては二次被害が生ずることのないよう十分配慮するとともに、市が実施する犯罪被害者等の支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。
2 事業者は、犯罪被害者等がその被害に係る民事、刑事等に関する手続に適切に関与することができるよう、その就労及び勤務について十分配慮するよう努めなければならない。
(相談及び情報の提供等)
第七条 市は、犯罪被害者等が、その受けた被害を早期に回復し、又は軽減し、安心して暮らすことができるようにするため、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うとともに、関係機関等との連絡調整を行うものとする。
2 市は、犯罪被害者等の支援に関する相談に応じるとともに、必要な情報の提供及び助言を総合的に行うための窓口を設置するものとする。
(経済的負担の軽減)
第八条 市は、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るため、犯罪被害者等に対し、情報の提供その他必要な施策を講ずるものとする。
(保健医療サービス及び福祉サービスの提供)
第九条 市は、犯罪被害者等が心身に受けた影響から回復できるようにするため、犯罪被害者等に対し、その心身の状況等に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスの提供その他必要な施策を講ずるものとする。
(居住の安定)
第十条 市は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るため、市営住宅(青森市営住宅管理条例(平成十七年青森市条例第百四十一号)第二条第三号に規定する市営住宅をいう。)への入居における特別の配慮その他必要な施策を講ずるものとする。
(雇用の安定)
第十一条 市は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るため、犯罪被害者等が置かれている状況について事業者の理解を深めるための啓発活動その他必要な施策を講ずるものとする。
(市民及び事業者の理解の増進)
第十二条 市は、犯罪被害者等の置かれている状況、犯罪被害者等の支援の必要性及び二次被害の防止の重要性について市民及び事業者の理解を深めるため、広報活動その他必要な施策を講ずるものとする。
(人材の育成等)
第十三条 市は、犯罪被害者等の支援に係る職員の育成及び資質の向上を図るため、犯罪被害者等の支援の必要性、二次被害の防止の重要性等についての研修への参加の機会の確保その他必要な施策を講ずるものとする。
(民間支援団体の活動の促進)
第十四条 市は、民間支援団体の活動の促進を図るため、民間支援団体に対し、市が実施する犯罪被害者等の支援に関する施策の情報の提供その他必要な施策を講ずるものとする。
(支援の制限)
第十五条 市は、犯罪被害者等が犯罪等を誘発したときその他犯罪被害者等の支援を行うことが社会通念上適切でないと認められるときは、犯罪被害者等の支援を行わないことができる。
(委任)
第十六条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
(施行期日)
この条例は、令和七年四月一日から施行する。