![]() このムラサキイガイはもともと青森湾だけでなく、日本にはいなかった二枚貝であると聞くと誰しもびっくりする。
青森では、ムラサキイガイは「シウリ」と、ムラサキインコガイは「マルゴ」と言われ、特にシウリはよく食べられていた。もちろん以前ほどではないが、春の大潮の時にはムラサキイガイを採る人達を今でも見かけることがある。 青森湾のムラサキイガイの記録を見ると1942年までの調査では登場していない。しかし、ある漁師の話によれば、「うちの親父が若い頃は、シウリを海から離れた所に住んでいる人の所に持って行き、リンゴをもらって帰ったもんだ」とのことである。この話の漁師の親父さんは元気でいれば百歳に近い。この話と前述の青森湾の記録を照らし合わせてみるとつじつまが合わない。およその年代ではあるが多分漁師の話の年代が確かで、今まで記録から推察されているよりももっと以前に青森湾に移入され、食用にされるようになったと思われる。確かな証拠が得られないものだろうか。 【自然部会執筆編集員 沼宮内隆晴】 ※『広報あおもり』2005年3月1日号に掲載 |
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