![]() 樹海は、ミズナラ、サワグルミ、ブナ、トチ、ミヤマハンノキで、所々に白いダケカンバが目立ち、山の上の部分には、アオモリトドマツが侵入している。 この辺の樹木からは気孔蒸散によりすごい水分が空へ放散されているだろう、と思って見ていると、間もなく山頂駅に着いた。 田茂萢山頂周辺は、 今年の夏、田代平の広々とした湿原で、一面ワタスゲや黄色のキンコウカの広がりは、例年通りと見られるものの、ヤチコタヌキモや温帯性スイレン(園芸植物)の咲く、比較的大きな池塘も、浅くなってしまっている。
今まで見て来た様子から、このグダリ沼の湧水量の減少が、北八甲田全体の乾燥化のバロメーターのように思われる。流水の中に、バイカモが花を咲かせているが、広がりが大幅に減少し、牧草から入り込んだハイコヌカグサが、浅い流水中に繁茂し、バイカモの茎葉と同じよう赤い茎葉を流水の中にたなびかせている。西側の岸辺は、オオカサスゲが繁茂し、ミズナラの倒木の北側下流の部分には、最近本州では、最大と思われるスギナモ(スギナモ科:ごく限られた寒地の水域に見られる貴重な植物)の大群落が見られるようになった。水深が浅くなったためか、アオミドロの一種も発生し、このあたりの水草の分布の変動も激しい。 4種類もいる扁形動物のプラナリア類も、水深や水草など環境の変化に敏感に適応し、その個体数を増減させている。浅い水中の石には、水生昆虫の卵塊が著しい。 【自然部会執筆編集員 小山内孝】 ※『広報あおもり』2004年11月1日号に掲載 |
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