![]() 収穫量の向上と労働時間の短縮をもたらした農機具の技術的改良は、農家の人たちが生活の中で使用してきた民具にも大きく変化をもたらした。 ここでいう民具とは、生活するために欠くことができない道具として作り、使われてきたもので、基本的には機械が作ったものではなく、人間が手で作ったものをいう。伝統的な民具の多くは、木をはじめとして竹、 このような変化の中で、今でも農家の庭先や農具小屋で見うけられるものに、末広の形をした箕がある。 箕は
「箕売り」は、秋の収穫作業が始まる頃、真っ白い箕を10枚ぐらい重ねて肩にかけ、手に 箕は殻と塵を選別し、はじめて実を採ることができる農具として、収穫の最後の大切な役割を果たしてきた。そのためか、破れたところには渋紙(現在はビニール紐)を貼って補強し、使用後も放って置くことなく、常に所定の場所に掲げられてある。 ついこの間まで身近にあった民具が、気がついてみると、だんだんと消えてしまっていることは残念なことであるが、農家の軒先の箕だけは、今でも暮らしの息吹きや先祖たちの手のぬくもり、語らいまでも伝えてくれているように感じられる。 【民俗部会調査協力員 村上直人】 ※『広報あおもり』2002年11月1日号に掲載 |
![]() |
![]() |
![]() |