あおもり今・昔125

小牧野遺跡出土の動物に関連した遺物

 国指定史跡小牧野遺跡は、3重の輪から構成される環状列石をシンボルとする縄文後期前半の遺跡で、市内野沢字小牧野にあります。
 平成2年度から青森市教育委員会が発掘調査を進めており、環状列石の周辺からは、土器や石器をはじめ数多くの遺物が出土しています。
 今回はその中から、大変貴重な動物に関連した遺物を取り上げてみました。
資料1〜4
 資料1は高さ11センチメートルの小型の鉢形土器です。口と底の部分が隅丸方形で、表面の4面に弓矢のような文様と、樹木のような文様が交互に描かれています。矢の先方に動物らしき文様があるのですが、完全に抽象化されてしまっています。これは、「狩猟文土器」と呼ばれているものです。
 資料2は「石皿」と呼ばれているもので、現在のすり鉢のような使い方をしたものと言われています。楕円形ですが、長軸の一端に動物の彫刻があります。動物の種類については抽象的な表現のため不明です。
 資料3は土器の底部に開脚した四足の動物がついているものです。頭部の表現は抽象的で動物の種類は特定できませんが、全体から受ける感じはクマを想像させます。
 資料4は動物形土製品の頭部です。体部は出土していませんが、顔の表情から一見してクマを想像させます。
 動物に関連した遺物は他にも市内の稲山遺跡、三内丸山(6)遺跡、近野遺跡でも出土しています。小牧野遺跡では、こうした動物に関連したものを環状列石の祭壇にささげ、豊饒祈願や感謝の狩猟儀礼を行っていたのではないでしょうか。
【考古部会執筆編集員 葛西勵】


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