あおもり今・昔118

碑文からみる青森市の歴史(6)−産業1

 市内には産業に関する石碑が多く存在するが、今回は農業・牧畜業と、その基盤整備に関するものを紹介する。
 堰、用排水路などの整備に関するものは、確認しただけでも1「重右衛門堰七十五周年記念木村重右衛門翁頌徳碑」(筒井、昭和55年建立)、2「上堰功勞者浪岡勇助碑」(平新田、昭和3年)、3「功勞碑小笠原平助・鹿内勝英」(平新田、昭和31年)、4「下堰功労者千葉丑太郎・中村平作之碑」(駒込、昭和38年)、5「故千葉惣四郎君之功績記念碑」(大矢沢、大正5年)、6「駒込川用排水改良事業竣工記念碑」(古館、昭和14年)がある。
駒込川用排水改良事業を記念した碑(古館地区)
▲駒込川用排水改良事業を記念した碑(古館地区)
 14はそれぞれの地域における用水堰建設功労者を顕彰したものである。56はともに駒込川の悪水から農地を守るための事業を記念したもので、前者は江戸時代、後者は昭和7年に始まった事業を記念したものである。農業の発展にとって用水の確保が重要であることを物語るものである。
 近年の農業基盤整備としては土地改良事業やほ場整備事業があるが、細越地区の「空高水長」碑(昭和55年)は、昭和47年から7年余にわたる中部土地改良区の事業完成を、孫内地区の「玉の汗ひろがる美田」碑(昭和44年)はほ場整備と農道延長を記念したものである。その他、八ッ役地区には「農道擴張記念碑」(建立年不明)がある。
 農地や牧野の開墾・開拓を記念したものも多い。戦後の田代平の開墾と経営に関係するものとしては、1「草地造成之碑」(昭和45年)2「拓魂」碑(昭和52年)3「草豊かに牛健やか」碑(平成3年)があり、また、同地の「電拓牧」碑(昭和52年)は、昭和49年に電気が通じたことを記念したものである。「雲谷平開拓記念農魂」碑(昭和56年)は同地の開墾に尽力した川村慶次郎を顕彰するものである。
【近・現代部会部会長 末永洋一】

※『広報あおもり』2003年9月1日号に掲載


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