あおもり今・昔60−自然よもやま話−

青森の土台〜東岳

 青森市東部にある標高684メートルの東岳(あずまだけ)は、「東嶺(あずまね)岩木嶺(いわきね)・・・・・・」と県立青森高等学校校歌にも歌われているが、その成り立ちについて、一般にはよく知られていない。岩木山や八甲田連峰が火山であることは多くの人が知っており、新生代第四紀の約30万年ほど前から形成されたものである。ところが、高い山の中には火山でないものも多く、東岳もその一つである。
 東岳の上半分には、約1千600万年ほど前(新生代新第三紀)に形成された安山岩や凝灰岩(ぎょうかいがん)がある。この岩石は野内川流域から平内町にかけて広く分布しており、新第三紀の火山活動によってできたもので、そのころは現在の奥羽山脈をはじめ日本海側の至る所で激しい火山活動が起こっていた。
細越から見た東岳
▲細越から見た東岳
 山の中腹より下には石灰岩や花崗岩(かこうがん)からなる古い岩石があるが、詳しい年代はわかっていない。青森市周辺の最も古い岩石は、夏泊半島東北部の弁慶内(べんけいない)(平内町白砂(しらす))の石灰岩で、含まれる化石から約2億年前(中生代三畳紀)とされている。東岳の石灰岩もこれとほぼ同じ時期と考えられ、青森市の土台を作っている岩石と考えることができる。
 市街地から見ると、東岳の中腹に崖が見えるが、これは大正時代から採掘していた石灰岩の鉱山跡である。この岩石は、専門的に言うと接触変成岩に分類される結晶質石灰岩(大理石)で、現在も登山道で観察することができる。石灰岩は浅い海底でできる岩石であるが、地下の深いところでマグマの熱によって変化した(焼けた)ものが結晶質石灰岩である。熱を与えたマグマが冷え固まったものが花崗岩であり、山の南側(右側)に見える大きな砕石場の入口付近で観察することができる。このような花崗岩はマグマが地下10〜15キロメートルでゆっくり冷え固まったと考えられ、その岩石が現在標高約300メートルの地点にあるということは、10〜15キロメートルも地盤が隆起し、上にあった地層や岩石は浸食されたことを示している。
【自然部会執筆編集員 工藤一弥】

※『広報あおもり』2000年1月15日号に掲載


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