あおもり今・昔59−自然よもやま話−

世界一の豪雪都市

 気象庁発行の「日本気候表」によれば青森市の年間降雪量は812センチメートルで、都市にある気象台や測候所などの気象官署の中で新庄市・岩見沢市を抜いて日本一です。世界的に見れば、豪雪地帯は山間部や極地方などあまり人の住まない所にあるので、青森市は世界一の豪雪都市と言えます。なぜ、寒い北海道や雪国新潟の都市ではなく、青森市が世界一の豪雪都市なのでしょうか?
 雪が降るためには、寒さや水蒸気のほかに、気流の上昇が必要です。気流が上昇すると、上空は気圧が低いため気温が下がり、水蒸気の一部が凝結して雪結晶に変わるからです。上昇気流には、季節風が奥羽山脈を越えるときに生じる上昇気流や、周囲から低気圧に吹き込む風によって生じる上昇気流が知られています。しかし青森市の場合は、津軽山地の稜線に沿って吹く北西季節風が、八甲田を迂回する南西風と合流して、上昇気流が生じています。つまり、津軽山地と八甲田に囲まれた地勢が上昇気流を作り、世界一の豪雪都市の原因となっているのです。
 八甲田を迂回する南西風は、冷たい季節風が下層に下りて、地形に沿って吹くために生じます。しかし、風速が強くなると、季節風は八甲田を迂回せずに越えていくため、雪は八甲田を中心とした山雪になります。青森市で最も多く雪が降るのは、気温が低く風速が毎秒4〜5メートル位のときです。
 冬に、浪岡方面から青森へドライブをすると、雲の流れから大釈迦峠付近で北西風と南西風が合流する様子を垣間見ることがあります。機会があったら、ぜひ空を見上げてみてください。
【自然部会執筆編集員 力石國男】

※『広報あおもり』2000年1月1日号に掲載


主要都市の年平均降雪量(1961年〜1990年の平均値)
▲主要都市の年平均降雪量(1961年〜1990年の平均値)

前のページへ あおもり今・昔インデックスへ 次のページへ