あおもり今・昔58−自然よもやま話−

タニシ

 青森市内で、ここ20年ぐらいの間に急激に個体数を減らした動物に、淡水にすんでいるタニシがあります。昔は、田舎では「田つぶ」と言って、みそ煮などで食べていたものです。
 現在、青森市内には、2種類のタニシが生息しています。田んぼに多く見かけたマルタニシと池沼に多いオオタニシの2種類です。
 2種類とも主に水のケイソウ類を食べていますが、泥の中の有機物も食べ、水の浄化にも役立っています。
 2種類のうちほとんど見かけなくなったのが、平野の水田や用水路に生息していたマルタニシです。マルタニシはその名のとおり、丸みが強く、殻高約5センチメートルほどの大きさです。減少の原因は、農薬や水路のコンクリート化、水質の汚染とが重なったからでしょう。
オオタニシ
▲オオタニシ
 オオタニシ(カクタニシ)は、名前のとおり、殻高が約6.5センチメートルとかなり大型になります。青森市内のものは幼貝時、殻が角張っているので、カクタニシとも言っています。七層にねじれ、胎生で夏に小さいソロバン玉のような貝が20個ほど生まれます。油川方面の大堤(オオツツミ)板野堤(イタヤツツミ)、新城川の支流、三内沼などに、現在でもかなり生息しています。
 それにしても、ここ十数年の間に、大堤、板野堤、牛蒡畑堤(ゴボウバタツツミ)、東岳の麓にある山下ため池など、全部の堰や堤がコンクリート化され、まわりの湿地帯がなくなってしまいました。フラスコモ、シャジクモ、ミズオオバコ、サンショウモ、ガマ、ミクリ、コウホネなどの豊かな水草が消え、それにつれて、メダカ、フナ、トンボ、タニシなども姿を消しました。
 いま、絶滅しそうになっているマルタニシを田んぼに再び増やせないものかと思っています。青森市内の田んぼで、今でもマルタニシが生息していたらぜひお知らせください。
【自然部会執筆編集員 小山内孝】

※『広報あおもり』1999年12月15日号に掲載


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