あおもり今・昔53−自然よもやま話−

帰化植物

 帰化植物の中のヒメムカシヨモギ(北米原産)は、畑を耕作せずに放置すると、途端に増えるのでよく知られている。そのヒメムカシヨモギに限らず、帰化植物は一般に繁殖能力が高いと言われている。
 あるとき、八戸市の種差駅に立ち寄った際、線路付近にコニシキソウ(北米原産)がたくさん生えていたことを覚えている。また、青森市内の新城付近の線路脇には見事なオオハンゴンソウ(北米原産)の群落が見られた。このオオハンゴンソウは北海道から渡ってきたものだと言う。
ヒメオドリコソウ
▲ヒメオドリコソウ
 昭和30年代、仙台駅の構内でヒメオドリコソウ(欧州原産)を観察したが、やがて青森にも来るなと友人と話していたところ、既に西津軽郡の森田駅付近にこのヒメオドリコソウが来ているという。早速現地を見学してみたが、探すほどなくヒメオドリコソウを発見できた。行進をするときのように見事な隊列を組んでいる。ここから2株分けてもらって、自宅の庭に植えておいた。それから何年たっただろうか、気がついてみると隣家との境に見事なヒメオドリコソウの隊列が並んでいる。さては2株がふえてこのようになったのかと、付近を見てみるとヒメオドリコソウの群れをあちこちに確認できた。その後、油川町一円にヒメオドリコソウを多く観察することができた。
 かつて、堤川岸でセイタカアワダチソウ(北米原産)を見かけたことがあったが、千刈の線路脇や新城でもこのセイタカアワダチソウを観察できるようになってきた。
 今は、ビロードクサフジ(欧州原産)やベニバナボロギク(アフリカ原産)をはじめ、セイタカアワダチソウやホウキギク(欧亜大陸原産)がどのように増えていくのか観察している。
【自然部会執筆編集員 原子一男】

※『広報あおもり』1999年10月1日号に掲載


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