あおもり今・昔44−自然よもやま話−

メダカがいなくなった?

 今年、環境庁が公表した新しいレッドリストに、メダカが「絶滅危惧種」として含まれたことは社会的に大きな話題になりました。「そういえば最近見掛けていないが」「環境破壊もここまできたか」「うちの近くにはまだいるけれど・・・」などなど、さまざまな感想を持たれたかたも多いことでしょう。今回、絶滅危惧種にあげられた理由は、何よりも、メダカの生息場所そのものの急激な減少です。
メダカ
▲メダカ
 どうしてメダカは減ってしまったのでしょうか。1960年代〜1970年代なら、水質悪化や競争相手のカダヤシ(北米原産のメダカに似た淡水魚)の広がりなどがメダカ減少の原因としてあげられたことでしょう。しかし、現在のところカダヤシは北日本にはいませんし、水質悪化も以前ほどではありません。
 メダカが急速に減ってきた理由は、「農業問題」です。水田の水管理のあり方が変わってきたからです。多くの用水路がコンクリート張りになったこと、パイプライン型水田が多くなったことなどは、メダカにとっては災難でした。メダカだけではありません。ドジョウやカエル類、またそれらを主食としてきたサギなどの鳥類など、思いもよらない形でさまざまな動物たちに影響がでています。
 本県は日本のメダカの分布北限です。なんとか、「青森県のメダカ」の保存を図っていきたいものです。ちなみに、青森市内ではメダカの記録はいつからあるのでしょうか。確実な記録としては、1931年7月25日に当時の「東津軽郡筒井村浜田」で採集されている旨の記載が1938年の論文にあり、おそらくこれが一番古い記録でしょう。
【自然部会執筆編集員 佐原雄二】

※『広報あおもり』1999年5月15日号に掲載


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