あおもり今・昔42−自然よもやま話−

新緑の森の野鳥 県民の森・眺望山

 「5月9日、国有林内眞部(うちまんべ)林の鳥界。アスナロの林が故に鳥獣棲息少なしと(いえど)も雑木林の部分にて次の鳥類を観察せり。
ツツドリ、ウグヒス、キジバト、ヒヨドリ、カケス、センダイムシクヒ、ヤブサメ、コガラ、ヒガラ、オホルリ、アリスヒ、キビタキ、ノジコ、カハガラス、メジロなど、以上の内最も鳴声の盛なりしものはツツドリ(六羽位)にして、ウグヒス之に次ぎ諸方の谷間に競囀(きょうてん)を聞けり。」(昭和10年12月30日青森縣師範學校 和田干藏(かんぞう)
オオルリ
▲オオルリ
 これは、当時の農林省畜産局(後の山林局)鳥獣調査室がまとめた『鳥獣報告集』に寄せられた、和田干藏先生の報告の一部を抜粋したものである。
 国有林内眞部林というのは、現在の「県民の森・眺望山」のことで、アスナロの林はヒバ・ヒノキの自然休養林として今もそのまま残っている。
 和田先生が報告した鳥のうち、アリスイは残念ながら現在では観察が難しいが、その他の鳥たちには出会うことができる。
 5月10日は「愛鳥の日」、その日から1週間が「愛鳥週間」となる。1年の中で野鳥たちがいちばん賑やかに「さえずる」時期である。彼らの歌声を耳にすると、再びめぐってきた春を喜ばずにはいられない。しかし、春を満喫して、楽しく歌っているかのような「さえずり」は、彼らの雛を健やかに育てるのに必要な餌場を確保するため、必死になって鳴いている“縄張り宣言”だということである。
 新緑がまぶしいこの時季に、家族やあるいは友人たちと共に野鳥の声に耳を傾けながら、森林浴を楽しんでみることをお勧めしたい。
【自然部会執筆編集員 對馬昭三】

※『広報あおもり』1999年4月15日号に掲載


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