あおもり今・昔41−自然よもやま話−

青森市周辺のヒバ林とヒメホテイラン

 関東地方在住の熱烈な野生植物ファンが、はるばる下北半島のヒバ林まで、ヒメホテイランの花を見に来た、という話を聞いた。
 ヒメホテイランは、日本では北海道と青森県のみに自生する大変魅惑的なラン科の多年草である。では、ヒメホテイランは青森県では下北半島のヒバ林まで行かないと見られない植物なのであろうか。さにあらず、我が青森市周辺の西北部のヒバ林にも、立派にヒメホテイランが自生している場所がある。
ピンクの花をつけるヒメホテイラン
▲ピンクの花をつけるヒメホテイラン
 私が初めて市内のヒバ林でヒメホテイランを見つけたのは昭和46年5月上旬だから、もう28年も昔のことになる。そのとき撮影したヒメホテイランのカラースライドを大切に保管していたが、だいぶ色があせてしまったので、撮り直しのためにそのヒバ林に登りたいと考えていた。
 平成10年4月下旬、昨年から頼んでいた知人から、ヒメホテイランの開花の知らせがあったので、仲間と共にカメラを肩に下げ、勇躍ヒバ林へ向かった。最近すっかり個体数が減ってしまったと聞いていたのでやや心配であったが、それは取り越し苦労で、懐かしいヒメホテイランの群生が我々を迎えてくれた。心ゆくまでカメラのシャッターを切ったのは言うまでもない。
 野生植物は、採らずに撮って楽しむのが最高である。
 青森市は自然が豊かな県庁所在地としては、日本屈指の場所ではないだろうか。
 「あおもり今・昔」は、今回から《自然よもやま話》として、いろいろな話題が登場する。乞う、ご期待。
【自然部会執筆編集員 葛谷孝】

※『広報あおもり』1999年4月1日号に掲載


前のページへ あおもり今・昔インデックスへ 次のページへ