あおもり今・昔18

青森市内の遺跡について

 遺跡は私たちの先祖が残した生活の跡でもあり、貴重な文化遺産でもある。現在、市内で280か所以上もの遺跡が明らかになっている。それらには、各時代の集落跡や城館跡のほか、竪穴式住居、掘立柱建築物、貯蔵穴、墓地、祭祀場(さいしじょう)、道跡、水田、畑、狩り場、水辺作業跡などの遺構がある。
 これらの遺跡は海岸、海岸段丘、沖積(ちゅうせき)平野、河川流域、扇状地、自然堤防、河岸段丘、舌状(ぜつじょう)台地、丘陵地などに形成され、それらの約90パーセントは標高約5メートルから100メートルの地形に分布している。
 遺跡は、一般的に表土に覆われているため、発見することは非常に難しい。しかし、地面をよく観察すると、土器・石器・骨角器・陶磁器・鉄器などが露出している場合がある。
小牧野遺跡で演奏する野沢小学校の皆さん
▲小牧野遺跡で演奏する野沢小学校の皆さん
 市内にある代表的な遺跡は、旧石器時代(三内遺跡・三内丸山遺跡)、縄文時代(熊沢遺跡・蛍沢遺跡・三内丸山遺跡・小牧野遺跡・山野峠(さんのとうげ)遺跡・長森遺跡・玉清水遺跡・大浦遺跡・朝日山遺跡)、弥生時代(蛍沢遺跡・露草遺跡)、古墳時代(細越遺跡)、奈良〜平安時代(蛍沢遺跡・野木遺跡・近野遺跡・沢山(2)遺跡)、中世〜近世では横内城址(じょうし)、油川城址がある。
 このように、一言で280か所以上の遺跡といっても、その中には三内丸山遺跡のように1千500年間にわたる定住生活が考えられている遺跡がある一方で、小牧野遺跡のように独自の様式の環状列石を擁する遺跡もある。
 遺跡の年代や特徴は多種多様であり、各遺跡からは精巧な技法で製作された石器や土器、装飾品などが多数出土し、古代からこの青森市域には素晴らしい文化が展開していたことを理解してほしいと思う。
【考古部会長 市川金丸】

※『広報あおもり』1998年4月15日号に掲載


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