あおもり今・昔17

考古学の世界へようこそ

 青森市は、今年で市制100周年を迎えるが、その記念事業として「新青森市史」を刊行することとなり、平成8年度から市史編さん事業が進められている。
 このたび、平成9年から民俗部会三上強二氏が執筆されていた「あおもり今・昔」を引き継ぎ、今回から1年間にわたって『考古部会』の担当で連載することになった。内容はこれまで明らかになっている遺跡をはじめとして、遺構・遺物・発掘(たん)・人物などを織り交ぜて紹介しながら進めていきたいと思っている。
三内丸山遺跡発掘の盛土遺構
▲三内丸山遺跡発掘の盛土遺構
 さて、青森市は海と山に囲まれた風光明媚な土地である。縄文時代以来、自然環境に恵まれたこの大地に人々は生活基盤を求め、すばらしい文化を育んできたことが最近の発掘調査によって明らかにされている。特に、縄文時代の遺跡である国指定史跡「小牧野遺跡」や「三内丸山遺跡」などは、全国的に注目を集めている。
 ところで、歴史をひも解く方法はさまざまであるが、主なものは、書き残された書物などを基に解明する「文献史学」や、「発掘調査」によって明らかにされた遺構・遺物などを基に解明する「考古学」などがある。
 発掘の対象となる「遺跡」の多くは大地の地層の堆積の中にあり、その地層の一枚一枚は、長い年月が経過する中でさまざまな要因によって形成されるため、形や色調の違いも場所によって大きく異なる。
 また、考古学では、大地の中から私たちの先人の足跡を見い出し、(いにしえ)の人々の生活の一端に直に触れることができる。
 そのため、大地は自然と人間の歴史書と言える。
【考古部会長 市川金丸】

※『広報あおもり』1998年4月1日号に掲載


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