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更新日:2015年6月1日

「あおもり歴史トリビア」第54号(2013年4月19日配信)

江戸時代の庶民の旅―『御国巡覧滑稽嘘盡戯』より(担当:渡邊)

4月も後半となり、大型連休も間近ですね。お花見や旅行などを計画して、心待ちにしている方も多いことと思います。

今日は、先日(3月29日配信)の予告どおり、万延元年(1860)に書かれた旅行小説『御国巡覧滑稽嘘盡戯(おくにじゅんらんこっけいうそつきげ)』によって、江戸時代の青森の様子や当時の庶民の旅をご紹介します。

この小説の主人公、江戸っ子の喜次郎兵衛と津軽生まれの弥太八は、「ある年の四月」に碇ヶ関(平川市)で、津軽領内巡りをしようと決め、繁華の湊青森を目指して出発し、大鰐、猿賀、黒石などを経て浪岡に着きます。松前・蝦夷地まで一望できる絶景の地「高陣場(たかじんば)」で眺望を楽しんだ後、本道である並木街道から脇道に入って入内観音へ参詣、高田村から青森町を目指します。


入内観音に奉納された狛犬

高田村から八ッ役村を経て、妙見宮で身の安全を祈願、境内を出て再び本道をたどり歩き、浜田村から青森堤町へ。堤町では長さ30間ほどの堤川大橋を渡り、茶屋町、造道を通過、原別村を過ぎて、野内川の名物「シラヲ」(白魚)漁を見つつ、厳重な対応の野内の「番所」を無事通過します。「龍の口」という奇岩を見物し、貴船明神を参拝して久栗坂村に着き、見上げれば岩崖、見下ろせば波が打ち寄せる難道の「善知鳥崎の桟(かけはし)」を通って、旅のハイライトのひとつと目される浅虫に到着します。


龍の口

浅虫の温泉は当時から有名だったようで、眼病に効験があるとして名が知れ、湯小屋には、一年中遠近からの浴客がおり、そこに芸者も集まって、三味線や太鼓の音が昼夜絶えず聞こえていたとあります。そして、喜次郎兵衛たちが宿泊した浅虫の宿の「酒の肴」が具体的に紹介されています。さて、どんなメニューだと思いますか?

「玉子まき」「めらか竹」「独活(うど)の酢漬」「海素麺(ベニモズク科の海草)」「鮫の小串」、名物の「水鮑(みずあわび)」など。「玉子まき」が江戸時代からあったなんて意外だなぁと思いましたが、海の幸、山の幸が存分に味わえるメニューだったようですね。


椿館(浅虫温泉)

浅虫で二人は温泉を楽しんだほか、「島めぐり」をしています。宿に頼んでおいた船に乗り、船頭から「裸島」の命名の由来などを聞かせてもらいながら島々を見て廻り、「湯の島」を目指します。「湯の島」では船から下りて、山に登り、弁財天など所々を見て廻っています。この「湯の島めぐり」の様子は、国学者で画家の平尾魯僊(ひらお ろせん)による「合浦山水観(がっぽさんすいかん)」にも描かれており、浅虫付近の島めぐりは、この頃、名所めぐりの定番コースだったのではないかと思われます。


湯の島

島めぐりを楽しんでいるうちに、七ツ(午後四時)過ぎとなると、船頭が「風もよし、青森へ一馳(ひとはせ)にやりますぞ、しっかり乗りなさい」と、船を疾走させます。颯爽と乗りつけた先は浜町です。「昼夜の絶え間なく栄える青森の湊」に着いた二人が眼にした、「外浜(そとがはま)九三里第一の大湊」である青森の繁栄の様子を、「漁船は海上に群れをなすほどで、『ヤサホウエンヤ』の掛け声が昼夜絶えない。数万ほどの出入りの荷物に、人馬は東西に奔走している。」などと伝えています。

夜、二人は宿で頼んだ酒「赤鬼の水入らず」を呑み、程よく酔って眠り、翌日は青森市中の見物に出かけるのです。ちなみに、この「赤鬼」は当時の青森の名酒であるとして、江戸時代の落語家が記した旅日記「奥の枝折」にも登場しています。

江戸時代の庶民の青森の旅、ここまで、いかがでしたか?

喜次郎兵衛と弥太八の青森の旅はまだ続きます。次の担当回には、二人の「青森市中見物」のうち、安方町、新町、四か寺周辺などをご紹介したいと思いますので、どうぞお楽しみに。

今回、浅虫の「島めぐり」の様子を想像しているうちに、自然豊かな「湯の島」に、この小説のように船で渡ってみたくなりました。今、湯の島では「カタクリ祭り」が開催されているそうですね。可憐なカタクリの花をはじめ様々な植生を見にいくのも、心地よいこの季節にふさわしい行楽かもしれません。

また、連休を利用して、喜次郎兵衛と弥太八の行程をたどって、青森市内を巡る旅をしてみるのもいいかもしれませんね。

今回の内容は、『新青森市史』通史編第2巻(近世)「絵画・紀行文にみる青森」を参考にしています。


湯の島のカタクリ

問合せ

所属課室:青森市教育委員会事務局市民図書館 担当者名:歴史資料室

青森市新町一丁目3-7

電話番号:017-732-5271

ファックス番号:017-732-5272

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