資料4 (仮称)青森市手話言語の普及及び多様な意思疎通の促進に関する条例案 目次 前文 第1条 目的 第2条 定義 第3条 基本理念   第4条 市の責務   第5条 市民及び事業者の責務 第6条 施策の推進 第7条 普及及び周知   第8条 学習機会の確保等   第9条 人材の養成 第10条 委任 附則 (前文)  言語は、人々がお互いの意思疎通を図り、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。  手話は、音声ではなく手指や身体の動き、表情を使って視覚的に表現する独自の語彙や文法体系を持つ言語であり、ろう者は、生活の中から手話を発展させ、 聞こえる人たちの音声言語と同様に、生きるために必要な言語として、手話言語を大切に育んできた。  しかしながら、過去において、手話は言語として認められず、手話による教育が事実上禁止されてきた歴史があった。  このような中、障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号)への批准に向けて障害者基本法(昭和45年法律第84号)が改正され、「手話は言語 である」と位置付けられた。  このことから、手話が、独自の言語体系を有する文化的所産であって、ろう者が日常生活及び社会生活を営むために大切に受け継いできた言語であることを  認識するとともに、手話が言語であることの理解を促進し、その普及に努めていかなければならない。    また、障がいのある人は、障がいの特性に応じた意思疎通手段が十分確保されているとはいえない中、情報の取得や相互理解の難しさ、そのことから生じる  誤解や偏見による生きづらさを抱えている。  このため、障がいのある人がその特性に応じて必要となる意思疎通手段が異なることを広く周知し、市民の理解を促進する必要がある。また、障がいのある  人自らが判断し意思決定するためにも、必要な意思疎通手段が選択できる環境を整える必要がある。  このことから、全ての市民が、障がいのある人など意思疎通が困難な人の思いや考えを理解し、相互に人格と個性を尊重し合うために、多様な意思疎通手段  が必要であることを認識するとともに、多様な意思疎通手段による意思疎通の促進に努めていかなければならない。  これらを踏まえ、私たちは、手話が言語であることの普及及び多様な意思疎通の促進により、誰もが障がいの有無によって分け隔てられることなく、互いを  尊重し、支え合い、地域で安心して暮らしながら、生きがいを持って参加できる共生社会の実現を目指し、この条例を制定する。 (目的) 第1条 この条例は、手話が言語であることの普及及び多様な意思疎通の促進に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、 手話が言語であることの普及及び多様な意思疎通の促進のための市の施策の基本となる事項を定めることにより、手話が言語であることの普及及び多様な意思疎通 の促進のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もって誰もが障がいの有無によって分け隔てられることなく、互いを尊重し、支え合い、地域で安心して暮らし ながら、生きがいを持って参加できる共生社会の実現を図ることを目的とする。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1)ろう者 手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。 (2)障がいのある人 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がい(以下「障がい」という。)がある者で あって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (3)意思疎通手段 手話、指文字、要約筆記、筆談、点字、代筆、音訳、代読、触手話、平易な表現、実物又は絵図の提示、身振り、手振り、表情、意思 疎通支援用具の使用その他の手段をいう。 (4)意思疎通支援者 手話通訳者、要約筆記者その他の意思疎通手段により障がいのある人への伝達補助等を行う者をいう。 (5)市民 市内に居住し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。 (6)事業者 市内に事務所、事業所等を有し、事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。 (基本理念) 第3条 手話が言語であることの普及は、手話が独自の言語体系を有する文化的所産であって、ろう者が日常生活及び社会生活を営むために大切に受け継いで きた言語であることを認識して行わなければならない。 2 多様な意思疎通の促進は、誰もが、障がいのある人など意思疎通が困難な人の思い及び考えを理解し、相互に人格と個性を尊重し合うために、多様な意思 疎通手段が必要であることを認識することを基本として行われなければならない。 (市の責務) 第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話が言語であることの普及及び多様な意思疎通の促進に関する施策を総合的 かつ計画的に推進するものとする。 (市民及び事業者の責務) 第5条 市民及び事業者は、基本理念に対する理解を深め、誰もが地域で安心して暮らしながら、生きがいを持って参加できる共生社会の実現に協力するよう 努めるものとする。 (施策の推進) 第6条 市は、第4条の規定に基づき、次に掲げる基本的施策を実施するものとする。 (1)手話が言語であることの普及及び多様な意思疎通手段に対する理解の促進のための施策 (2)意思疎通手段を選択すること及び意思疎通手段による意思疎通や情報取得を円滑に行うことができるようにするための環境整備に係る施策 (3)前2号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な施策 2 市は、第4条に規定する施策の推進に当たっては、ろう者、障がいのある人その他関係者の意見を聞き、その意見を尊重するものとする。 (普及及び周知) 第7条 市は、市民及び事業者が第3条に掲げる基本理念の理解を深めるために、次に掲げる取組を行うものとする。 (1)手話が言語であることの普及 (2)障がいの特性への理解と障がいの特性に応じて必要な意思疎通手段についての周知 (学習機会の確保等) 第8条 市は、市民及び事業者が手話が言語であること及び障がいの特性に応じた意思疎通手段の重要性に対する理解を深めるため、関係機関と協力して、学習機会 の確保を図るものとする。 2 市は、幼児の教育及び保育並びに学校教育において手話が言語であること及び障がいの特性に応じた意思疎通手段への理解を促進し、及びその普及に努めるものとする。 3 市は、障がいのある人が障がいの特性に応じた意思疎通手段を円滑に利用できるよう、意思疎通手段を習得する機会の確保を図るものとする。 4 市は、職員に対し、手話が言語であること及び障がいの特性に応じた意思疎通手段に関する研修を行うものとする。 (人材の養成) 第9条 市は、意思疎通支援者が確保されるよう、意思疎通支援者及びその指導者の養成その他の必要な措置を講ずるものとする。 (委任) 第10条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。 附 則 (施行期日) この条例は、令和2年4月1日から施行する。