令和元年度第1回青森市健康福祉審議会障がい者福祉専門分科会 会議概要 開催日時  令和元年8月9日(金)10:00〜12:00 開催場所  総合福祉センター2階 大集会室 出席委員  船木昭夫会長、浅利義弘委員、工藤功篤委員、今栄利子委員、鳥山夏子委員、長谷川さとみ委員、町田徳子委員 ≪計6名≫  欠席委員  小松崎明委員 事 務 局  福祉部長 舘山新、福祉部次長 福井直文、障がい者支援課長 金澤 敦、     健康福祉課副参事 鳥谷部稚子、障がい者支援課主幹 佐々木潤一、     同課主幹 佐藤進一、同課主幹 高木康人、同課主査 木村 聡≪計8名≫ 会議次第 1 開 会 2 福祉部長あいさつ 3 議 事 (1)(仮称)青森市手話言語の普及及び多様な意思疎通の促進に関する条例の骨子案について (2)青森市障がい者総合プランのフォローアップについて 4 その他 青森市障がい者総合プランについて 5 閉 会 会議概要 3 議事(1) (仮称)青森市手話言語の普及及び多様な意思疎通の促進に関する条例の骨子案について  事務局から資料1、資料2により説明があった。 質疑・意見 ○委員  手話言語の普及とは、手話言語を使いやすい環境を整備するという意味も含まれているのか。  条例骨子案の「2 定義」について、(3)意思疎通手段に指文字を入れて欲しい。共生社会条例の施行後に作ったパンフレット「知ることからはじめる  障がいへの理解」では、聴覚障がい者のコミュニケーション方法として、「手話言語、筆談、口話、指文字、身振りなどがある」と記載されている。  「8 学習機会の確保等」について、手話を教えるだけではなく、手話の文化やろうの文化をともに学習していくという意味で「手話言語の普及及び多様  な意思疎通」を記載して欲しい。厚生労働省が定めた手話奉仕員養成講座のカリキュラムには、「手話の基礎知識」や「聴覚障害者の生活」が講義として  含まれていることからも、手話言語の普及は大切なことだと考える。 ●事務局  「手話言語の普及」については、手話言語の普及にあたって、手話の使いやすい環境を整備することも含めて普及と考えている。  「指文字」については、条例骨子案を策定する中で他の自治体の条文を参考にしながら作業を進めてきたが、意思疎通手段の定義に指文字を規定している  ところは無かったため、記載していない。  「8 学習機会の確保等」については、意思疎通手段の定義に「手話」が含まれており、「手話言語の普及及び多様な意思疎通」とは記載しないこととした。  また、他の自治体においても、学習機会の中では、意思疎通手段について学習していくと規定し、手話言語の普及とは別に規定している。なお、手話言語の  普及については、「7 普及及び周知」において記載している。 ○会長  条例で規定するものと、実施段階における内容のものを区別する必要がある。  意思疎通手段を獲得する方法は、今の社会では、それぞれの障がいに応じて様々な方法があり、ろうあ者の意思疎通手段としての方法を全て際限なく条例  に明記することは難しいものと考える。  手話言語に関係して詳細に明らかにしたいという意思は理解できるが、この条例が制定された以後、実施段階でどのように対応するのかが重要であると  いうことも、今後、理解されるのではないか。  学習機会については、手話の学習をする場合には当事者が講師になって行うことが前提となることから、そのこと自体から、手話の文化やろうの文化を  学習する機会となるものと考える。 ○委員  資料1「条例の特徴」の中の「幼児の教育及び保育並びに学校教育における理解の促進」について、幼児期間の学びはとても大事であるが、具体的には、  どのような形で進めていくのか。保育のカリキュラムの中に含めることを想定しているのか、パンフレット等での周知を想定しているのか。現段階での  イメージをお聞かせいただきたい。  子どもに指導する場合、先ずは、保育園などの先生方の理解が必要であると思うが、保育園や保育連合会など関係機関との調整からはじめるということか。 ●事務局  「幼児教育・保育」の部分については、まず、手話をはじめ、様々な意思疎通の手段があることを知るというところを入口として考えている。例えば、  当事者の方に来ていただいて「おはようございます」「ありがとうございました」というような簡単な挨拶を交わすところから、その挨拶を覚えてもらう。  その他、保育園の活動の中で、手話を使いながら歌を歌うなど、その保育の過程の中で、様々な取り組み方があると考えられることから、保育園、幼稚園  の協会の方々に協力いただきながら、子どもたちが、より親しみやすいような形で取り入れていくことを想定している。  当然にして保育園等の協力なしでは進められないことから、この条例を進めていく中で、市保連等の関係機関と調整しながら進めていくこととなる。  実施にあたっては、特別なものとして扱うのではなく、子どもたちが自然に親しんでいけるような形を想定している。 ○委員  指導方法について、例えば、教材を使ったり、何か配ったりするのか。手話言語を普及するためのパンフレットを作ったりするのか。  市が出前講座等を準備したりする予定があるのか。手話言語の普及に関して、具体的な話があれば教えていただきたい。 ●事務局  まだ条例ができていないため、予算化もされていない。今年の12月議会に提案する予定としていることから、来年度の予算要求の中で検討していくこととなる。 ○委員  現在、就労の支援をしている聴覚障がいのある方がいる。接客業の場合では、会社側で、「耳が不自由です」との表示や小さいホワイトボードを準備し、  コミュニケーションが取れるよう工夫しているほか、パソコン作業では、手話でなくてもコミュニケーションできている部分が多くあり、会社内メール  でのやり取りで指示をだすなど、手話ができる方が会社にいない状況の中で、様々に工夫して対応している。  今は、スマートフォンでのSNSの普及もあり、様々な方法でコミュニケーションができる便利さはあるが、聴覚障がいのある方とは、手話で話すほうが、  生き生きしていると感じる。文面でのやり取りと違い、手話や身振り手振りでのコミュニケーションでは、表情が良くなると感じているので、少しずつでも  手話が普及してほしい。  また、会社側が手話を勉強する機会は、少ない状況にある。 審議 ○会長  皆様から色々ご意見いただいたが、骨子案について異議がないことから、(仮称)青森市手話言語の普及及び多様な意思疎通の促進に関する条例の骨子案  について、了承することでよいか。  特に異議がないので、了承いただいたものとする。     3 議事(2) 青森市障がい者総合プランのフォローアップについて  事務局から資料3、資料4により説明があった。 質疑・意見 ○委員  たくさんのデータが示されているが、現実とは違っている印象がある。  障がい者に対する理解に向けた啓発について、福祉読本を小学生・中学生に配布とあるが、活用されているのか。どのようにしてこれを理解してもらって、  どのようにして活用されているのか。 ●事務局  福祉読本については、今年度が5年に1回の改定時期であり、学校の先生方とともに改定の編集会議を行う。改定にあたっては、学校での使われ方を含めて、  先生方にアンケートを行うこととしている。  福祉読本の活用については、社会科の授業での障がい者に関係する場面や、道徳の時間において活用されており、現状、各学校のカリキュラムの中に組み込まれ、  使い方は各学校によって異なっている。なお、学校の先生方の指導を担当している教育委員会の指導課からは、ゲストティーチャーによる授業で福祉読本を  活用されている学校もあるなど、基本的に福祉読本の使い方は様々であるが、きちんと活用していると伺っている。  今後、より活用し易い福祉読本とするよう編集会議で検討していきたい。    フォローアップのデータが現実と違う印象があるとの意見については、  市のシステムとして、計画を立て、その計画に基づき事業を実施し、実施結果を踏まえ、事業の検証を行い、翌年度の事業の実施、一連の流れとなる。  フォローアップでは、その実施状況・取り組みの部分について、全体がより分りやすいようなデータを選択して記載しているので、詳細の部分までは  わかりづらい部分もあるが、このデータに限らず事業を実施しており、全体の進捗を計るための指標と御理解いただきたい。 ○委員  資料5の成年後見制度の利用促進について、市長申し立ては青森県や青森市が多いと全国的に知られている。障害者のところでは4件です。申し立て12件。目標が12件。  この成年後見制度の中で、こういう方たちが市長申し立てができますというような内容をどのように周知しているのか。 ●事務局  市長申立ての件数については、大体が精神障がいのある方の申し立てである。  周知については、病院、相談支援事業所等の関係機関のほか、福祉ガイドブック、広報やホームページで周知している。 ○会長  施策の評価検討を行う上で、主な数字とのことだが、例えば、成年後見制度であれば、障害種別として何件あるのかや、虐待防止体制の強化では、  通報件数42件の内訳と取扱の結果などの資料を提示していただかないと適切な検証はできないと考える。その他の項目についても、のべ日数・利用日数  だけではなく、延べ人数や実人数、また、障害種別を合わせると、評価・検証がしやすいのではないか。雇用率についても、障害種別毎や、参考値として、  市役所、教育委員会の障害者雇用率も提示をお願いしたい。 ●事務局  次回からの参考として是非つけさせていただきたい。 ○委員  総合的に見て心のバリアフリーとは何かというところに触れてないと感じる。身体的なバリアフリーは目に見えるが、精神障がい、発達障害の人たち  についてのバリアフリーとは何で、無くすにはどうしたらよいのか。地域社会はどうすれば良いのか。  発展途上国では、医療や薬品などが非常に不足しているが、心のバリアフリーについては、非常に優れている。隣近所がみんな一緒で、みんな同じ家族  だと思って接してるから、特別な医療や福祉、薬品が最低限度で済んでいる。  先進国であれば、福祉サービスが非常に充実しているが、それをいかに上手に使っているか。当然必要ですけれども、心に使う福祉サービスとは何か、  市では、どのように考えているか。 ●事務局  心に使う福祉サービスについて、今年2月に作成した青森市総合計画では、「互いを尊重し支え合う社会の形成」の現状として、地域で安心した暮らしができる  環境づくりが重要だと掲げている。その中で、ノーマライゼーション・人権擁護の推進の部分では、主な取組として、福祉サービスを実施している。  また、地域で暮らすためには、コミュニケーションの部分が大事であり、そのために、地域で障がいへの理解をどう進めていくかが課題となる。今は、  パンフレットの配布などによる啓発活動を行っているが、今後、障がいへの理解を進めるため、どのように取り組んでいくのかが課題である。 ○会長  精神保健福祉関連の事業である点から、多面的な取扱が必要であると考える。国の医療計画では、5疾病5事業のひとつに精神障害が含まれ、これを重点  としているので、国では、精神障がいを国民の課題と捉えていると考えられる。例えば自殺対策計画は、市町村においても計画を策定することとされており、  このことは住民を対象とした計画を実施していくということ。また、文部科学省は心の健康づくり教育と人間関係づくり教育を基本とすることを提案している。  市においても、多面的な関係部署との連携を含めた取扱いをお願いしたい。 ○委員  意思疎通支援のための人材養成の推進について、主な取り組みでは、手話通訳者や要約筆記者など意思疎通を行う者の養成に努めるとあるが、実施状況では、  手話通訳者養成講座だけが記載されている。要約筆記者の養成について、実施状況を教えてほしい。  第4章障がい者の安全・安心な暮らしの確保について、災害時の障がい者への支援は重要なことと考えるが、避難行動要支援者における障がい者同意割合が  徐々に下がっている理由を教えて欲しい。 ●事務局  要約筆記者については、聴覚障害や音声・言語機能の障害のある方の意思伝達手段として、話の内容をその場で要約して伝える要約筆記者を、市に登録し  派遣している。利用状況は、平成30年度は60件、平成29年度は80件である。  養成者数ということですけれども、避難行動要支援者における障がい者同意割合については、障害者手帳を取得すると自動的に避難行動要支援者の名簿に  登載され、災害発生時には、名簿を元に支援することになる。いつ発生するかわからない災害に対応するため、あらかじめ、警察などの関係機関に避難行動  要支援者であることの情報提供することに同意いただく制度である。  手帳を交付する際や、ヘルプカードの配付の際に説明し、制度の周知をしてきているが、同意者数が、少しずつ減ってきている状況にある。  個人情報として、障がい者であることを知られたくないという思いがあると聞くが、制度について充分理解していただき、同意していただくため、  今後、様々な媒体を使って周知をしていきたいと考えている。 ○会長  避難行動要支援者の件、個人情報の問題等はあるが、個人情報を適切に取り扱う組織・団体等に情報提供するということも含めて理解いただく。  現場では、そういう人たちと接する中で、障がい者の安心安全を考える上で、この制度を理解していただくということも、支援活動の1つだと思う。  関係団体においても、この制度への理解を進める活動をしていただき、個別な説明と組織的な説明を合わせて行うことで、同意者数の増加に効果があると考える。 ○委員  第2章の指標(1)障害者福祉に関する相談者数について、達成率が95.8%で非常に高く、課題・今後の方向性でも、事業の周知の効果が表れている  ことから今後も継続と記載されており、市内での相談体制が充実してきていると分った。  しかし、実際に療育機関を使いたいというご家族からの相談からは、未就学のお子さんを対象にした療育機関の児童発達支援事業所、小学校1年生から  18歳までの児童が通える療育機関の放課後等デイサービスが、市内どこも満杯で利用したくても利用できないという現状が見えている。  こうした現状について、市として検討いただきたい。  第2章の4保健・医療の充実について、発達障害の診断・治療をしてくれる医療機関が少ない上に、どこも満杯の状態である。  診断や診察を受けたくても初診まで大体3ヶ月から6ヶ月、それ以上待つところもある。このように診断を受けよう、受診しようと思っても、中々診察  してもらえないという状態は、青森市に限らず、全国的な問題であるが、この医療機関や医師が、少しでも増えていくように、医療機関・医師の確保は、  大きな課題の一つであると思っている。市としても可能であれば、検討いただきたい。  また、青森県発達障害者支援センターでは、厚生労働省の事業である「かかりつけ医等発達障害対応力向上研修会」を平成29年度に開始した。  発達障害にも対応できる地域の医療機関を増やすことを目的として始まったもの。医師の確保は、関係機関が、協同して取り組まないと解決しない。  青森市とも様々な面で協同しながら取り組ませていただきたい。 審議 ○会長  「青森市障害者総合プランのフォローアップについて」了承することでよいか。  特に異議がないので、了承いただいたものとする。  事務局では今回の意見等踏まえ、引き続き各計画の推進に取り組んでいただきたい。また、次回の会議において詳細な資料を提示していただきたい。     4 その他 青森市障がい者総合プランについて  事務局から資料6により説明があった。 質疑・意見 ○会長  検討を進めていただきたい。 4 その他 各委員から 質疑・意見 ○委員  放課後等デイサービスについて、利用件数がかなり増えて、なかなか利用できない。本来は働く家庭の子どもさんの受入れが目的だったと思う。  今は、誰でも受入れていて満杯になっているのではないか。両親が働いていて、放課後誰も家にいないという場合に受入れているのかどうか。  誰でも受入れていて、本当に利用したい人が利用できないというような状況なのか。   ○委員  児童発達支援や放課後等デイサービスの利用を待っていて、相談支援事業所での計画策定に至っていないケースは、児童のケースの8割という状況にある。  現在の放課後等デイサービス、児童発達支援は、両親が働くために預ける場所としてではなく、児童の発達過程で適切な療育をする場所として、  発達障がいの特性理解、ストレスへの対応や感情コントロールといった面で必要な場合に、利用を希望される方が多い状況にある。しかし、複数の事業所を  掛け持ちで利用される方もおり、この場合、一貫した支援が難しいのではと感じている。  預ける場所を希望される方には、日中一時支援、療育を希望される方には、児童発達支援や放課後等デイサービスを勧めている。また、一貫した支援が  難しい場合には、療育等支援事業により家庭で支援を受けてはどうかとの情報提供もしている。  なお、事業所ごとのスキルのばらつきがある中で、日中一時支援とは違う本当の意味での放課後等デイサービスが提供できているのかと感じることもある。 ○会長  事業所を含めた事業自体の質的なものを含めたものが、現場ではまだケアマネージメントと言いますかされて、個別な対処としての適切なものをやはり  しなければいけないということ、今言った何箇所も利用しているというのは、目的はなんなのと言うふうになってきますから、そこらへんのところを  含めたもので適切に利用していただくということを前提として、行政側もその事業の展開を確認していただくということは必要かとは思いますね。  当然福祉指導上の問題とあわせたものが幅広くなってくるかと思いますけれども、そこも検討いただきたい。 ○委員  ショートステイ(短期入所)の事業所では、ほとんどの利用者を受入れているが、緊急の場合に、なかなか利用できない。去年、養護学校に通っている  お子さんの親御さんから、青森市は、短期入所が利用できず困っていると相談がありました。  ある事業所が一杯なので、別の事業所にいくけれども一杯で、なかなか利用できない。緊急の場合には、どうしたらいいのか。  ○事務局  緊急の場合の受入れ先が見つからないことについては、市でも課題として認識している。非常に難しい問題で、相談支援事業所にも協力してもらい、  探すこととなるが、どうしても見つからない。今すぐには解決できない問題であるため、今後も検討を続けていく。  ○委員  要約筆記養成事業について、県で実施している。市では、要約筆記者の養成は、やっていないのではないか。  2025年度に全国障害者スポーツ大会が青森県で開かれる。そのため手話通訳者以外にも、意思疎通支援者の養成をする必要があり、150人が目標であると聞いている。