○青森ねぶた保存伝承条例

平成十七年四月一日

条例第百十五号

青森ねぶたは、青森市の成長とともに、多くの先人の情熱によって引き継がれてきた私たち青森市民共有のかけがえのない財産である。青森市がこれまで直面した戦災や幾多の災害などにおいて、青森ねぶたが、私たち市民の心を団結させ、復興と発展の象徴として、私たちを励ましてきた恩恵と意義は計り知れない。

また、私たち市民は、参加する者、観る者の双方に感動と喜びを共有させる青森ねぶた祭に大きな誇りを持ち、私たち自らの伝統行事であるとともに、多様な交流の機会として多くの人々を招く祭りとなるよう積極的な育成を行ってきた。このような経緯を経て、我が国の代表的な伝統文化と認められ、昭和五十五年に青森のねぶたとして国の重要無形民俗文化財の指定を受け、今や世界的な評価を得るまでに発展してきた。

この青森ねぶたを、青森市のみならず我が国の歴史、文化等の正しい理解のために欠くことのできない貴重な文化財として、また、青森市に暮らす喜びを表す祝祭行事として、その保存と伝承を適切に行い、公共のための文化的活用に努めることが、私たちの共通の責務である。

今ここに新たな世紀を迎え、私たち市民一人ひとりが、郷土の伝統文化である青森ねぶたに自ら誇りと自信を持ち続け、市民文化の向上に取り組み、青森市の文化、観光の発展及び地域社会活性化の担い手としての使命を果たすため、あらゆる場において青森ねぶたの健全な保存が図られるような社会環境づくりの必要性をあらためて深く認識し、私たちすべての新たな自覚と決意のもとに青森ねぶたが次の世代へ正しく伝承されることを願い、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、青森ねぶたを、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号。以下「法」という。)に基づき重要無形民俗文化財の指定を受けた青森のねぶたの保護団体である青森ねぶた祭保存会とともに、市民一人ひとりが次の世代へ誇りを持って引き継ぐことについて、市民自らがその当事者であることを自覚し、深い理解と愛情のもと、健全で良好な姿で保存及び伝承するために必要な施策等について定め、もって市民文化の向上に資することを目的とする。

(市民の責務等)

第二条 市民は、前条の目的を達成するため、地域、家庭、学校、職場(以下「地域等」という。)並びに青森ねぶた祭の参加及び観覧その他本市市民として青森ねぶたへの関与のある場において、青森ねぶたの保存及び伝承に努めなければならない。

2 市民は、青森ねぶたの保存及び伝承を阻害する行為を行ってはならない。

3 市民は、青森ねぶたの保存及び伝承に関して市が行う施策に協力しなければならない。

4 市民以外の者で、青森ねぶたに関与するものは、市民と同等の責務を負う。

(ねぶた祭参加団体の責務)

第三条 ねぶた祭参加団体(青森ねぶた祭においてねぶたを運行する個人及び法人その他の団体をいい、青森ねぶた祭の主催者を含む。以下同じ。)は、第一条の目的を達成するため、市及び市民との連携を図り、青森ねぶたの保存及び伝承に努めなければならない。

2 ねぶた祭参加団体は、ねぶたの運行に当たり、法に基づく国の重要無形民俗文化財としての品位を保たなければならない。

3 ねぶた祭参加団体は、青森ねぶたの保存及び伝承に関して市が行う施策に協力しなければならない。

(市の責務)

第四条 市は、第一条の目的を達成するため、あらゆる施策を通じ、青森ねぶたの保存及び伝承に努めるものとする。

2 市は、青森ねぶたの保存及び伝承のため、概ね次に掲げる施策を推進するものとする。

 教育の場における青森ねぶたの保存及び伝承についての教育

 地域等における青森ねぶたの保存及び伝承についての啓発、育成及び支援

 事業者に対する青森ねぶたの保存及び伝承に必要な措置の要請

 青森ねぶたの保存及び伝承に関する活動の指導者の育成及び支援

 青森ねぶたを取り巻く社会環境の健全化活動の推進

 青森ねぶたの文化的活用の推進及び振興

(施策の推進)

第五条 市長は、前条第二項各号に掲げる施策の推進に当たり、青森ねぶた祭保存会等の意見を聴くよう努めるものとする。

(委任)

第六条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

この条例は、平成十七年四月一日から施行する。

青森ねぶた保存伝承条例

平成17年4月1日 条例第115号

(平成17年4月1日施行)