なみおか今・昔111

町史かわら版(18)

−浪岡町史編集所感−
〜別巻Tの編集を終えて〜

 『浪岡町史』別巻Tの編集にあたった小野知行先生から編集所感をいただきましたので紹介します。

小野知行編集委員
小野知行編集委員

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 何らかの因縁があって、宗教関係に関して『浪岡町史』編さんの仕事に平成7年度当初から携わってきました。市町村史編さんブームが少し下火となっていたころで、当時の編集委員長は、これまで発刊されたものとは違う浪岡独自のものを出したいという意欲に燃えておりました。確かに津軽地域のどの市町村史を見ても、ほとんど同じ記述が出てくるわけです。また『基礎資料編』の作成も計画しておりました。
 しかし浪岡独自のものといわれても、史料はあるのか。近世に限って言えば、弘前藩に組み込まれたため、都合の悪い史料は残されているはずもなく、困惑しました。
 そこで視点を変えて、宗教関係については町内に現存しているものを片っ端から調査してみることにしました。共同墓地の墓石、村はずれの石塔、地蔵堂、もちろん神社・寺院ことごとく。とにかく脚で稼ごうと真冬を除いて週末はほとんど町内の道路・山野をくまなく歩きまわりました。何とかも歩けば棒に当たるとはよく言ったものです。宝物は何気ないところに何も言わずに待っていたのです。これらをもとに原稿をまとめていきました。
町史別館Ⅰ発刊記念 企画展の風景
町史別館Ⅰ発刊記念 企画展の風景
 町史の目玉である浪岡城が記述される予定の第2巻、及び『基礎資料編』の編集作業をしている最中に突然編集委員長が辞任するという事態が発生しました。青天の霹靂へきれきです。緊急会議が招集され、原稿分担の変更、編集委員の選定が話し合われる中で、『基礎資料編』を別巻Ⅰ・Ⅱとすることとなり、別巻Ⅰの編集の仕事を引き受けさせられてしまいました。
 何とか執筆者各位の協力で平成14年3月には刊行となりましたが、その間慣れない編集の仕事で編さん室のスタッフには多大の負担をおかけしました。心から感謝しております。
 この別巻Ⅰ最大の特色は、225頁を費やした第7章町内文書の目録にあります。読んで面白いという代物ではありませんが、調査の過程で町内の方々から提供された膨大な資料を目録として掲載したものです。提供された方々に心から感謝するとともに今後の活用法も考えていきたいものです。

『広報なみおか』平成16年(2004)9月1日号に掲載


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