なみおか今・昔34

ふるさとの写真を読む(3)

 2枚の写真は大正から昭和に変わるころ、北中野産業組合が発行した絵はがきです。産業組合は明治33年(1900)に公布された「産業組合法」にもとづき、経営されました。農業経営の保護、販売・購入共同化、金融などの事業を行っていました。北中野産業組合は、現在の北中野の消防屯所の位置にありました。
 ①の写真は正面の風景です。自動車は浪岡−黒石間の乗合自動車として使用され、組合の前が停留場でした。
1.北中野産業組合事務所正面全景
①北中野産業組合事務所正面全景
2.北中野産業組合事務所内部
②北中野産業組合事務所内部
 自転車を持った人がいますが、なかなか高価でした。浪岡駅前に捨てられている自転車を見たら、当時の人は何というでしょうか。建物の右側には、りんご箱が積んでありますが、これも商品の1つ、掲示板の前の大八車は使用料1時間5錢、当世風にいえば、レンタカーといったところです。
 ②の写真は事務所の内部です。モメン・メリンス・カスリなど、1尺いくらという形で販売していました。酒も計り売りでした。山内組工場の法被(はっぴ)を着た人は、酒を買いに来たのでしょうか。
 店内にいる人は右から長谷川秀太郎さん、火鉢の前で客と応対しているのが長谷川佐次郎さん、その後ろが購買主任の長谷川福太郎さん、横向きになっている方が対馬勝五郎さん、シャツ姿が対馬豊五郎さん、左後部の丸刈りの方は書記の常田長蔵さん、左端が専務理事の有馬力さんです。長谷川佐次郎さんは当時15歳、思い出を一気に語ってくれました。
 この写真の右側には金物・瀬戸物・荒物・酒の売り場がありました。薬の販売、祝言や法事用のお膳の貸出、リンゴの出荷、肥料の販売と多忙でした。
 年中無休!住み込みで朝5時から夜10時までの勤務だったといいます。15歳の皆さん!頑張れますか。(写真は長谷川佐次郎さん蔵)

【浪岡町史編さん室長 佐藤仁】

『広報なみおか』平成10年(1998)4月1日号に掲載


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