あおもり今・昔131−自然よもやま話−

東岳山麓のベニバナヤマシャクヤク

 白い花のヤマシャクヤクは山でたまに見かけることがある。もう10年以上も前にいただいた実生(みしょう)の株を庭隅に植えておいたのが根付いて、株も増え、毎年白い花を咲かせ、目を楽しませてくれている。
 『新青森市史別編自然』の資料収集のため東岳の植物調査を行っているが、山麓の杉林にベニバナヤマシャクヤクがあるとの話を聞いた。ぜひ見たいものだと思っていたところ、平成12年5月に、調査協力員のKさんから、山麓の杉林伐採跡地に咲いているとの電話をもらい、すぐにカメラを肩にかけ、現地に赴き、撮影した。我々が撮影した花の色は、原色図鑑と違って深紅であった(図鑑の色はピンク)。これは個体差のようである。Kさんが次の年に様子を見に行ったら、何者かによって盗掘されたらしく、姿がなかったという。
ベニバナヤマシャクヤク
▲ベニバナヤマシャクヤク
 以前、日本鉄道建設公団が行った、函館から札幌までの新幹線予定地の調査報告書の中にベニバナヤマシャクヤクが見られたということを教えていただいたことがある。青森県レッドデータブックではベニバナヤマシャクヤクはAランク(絶滅危惧種)である。北海道では本県より個体数が多いようだが、全国的に見ても絶滅が危惧されている貴重な野生植物である。
 このような植物を保護するには環境も一緒に保護すべきなのだが、杉林などは個人の持ち物であることが多いのでなかなか難しい。
 せめて一人一人が採集など絶対にせず、写真に撮影して楽しむように心掛けたいものである。
【自然部会部会長 葛谷孝】

※『広報あおもり』2004年10月1日号に掲載


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