あおもり今・昔128

野木遺跡1

 遺跡は、青森市南西部を流れる荒川支流の牛館川と合子沢川にはさまれた標高約50〜90メートルの丘陵地に位置しています。
 平成7〜10年度の4年にわたって青森中核工業団地整備事業の実施に伴い、市教育委員会と県埋蔵文化財調査センターが、発掘調査しました。
 調査の結果、縄文時代と平安時代の複合遺跡であること、平安時代の集落を主体とした遺跡であるという事がわかりました。
 縄文時代では、前期と中期の集落を検出しています。
 遺構として、竪穴住居・貯蔵穴・動物捕獲用の落とし穴が発見され、住居は二軒を一単位としたものです。
 土器は、縄文時代前期〜晩期、弥生時代と幅広い時期のものが出土しています。
 平安時代では、300軒を越える竪穴住居が発見されており、時期は9世紀〜10世紀にかけてのものです。
 遺構は、竪穴住居を囲む柵列や礎石・ロクロピットを伴う竪穴住居などの特異な住居が検出されました。
 そのほかに掘立柱建物・畠跡・階段状遺構・水場遺構・便所遺構などを計画的に配置していたことが判明した集落です。その中で特に水場遺構は、木枠・水路・杭列などを有する構造で、当時の古代技術を知るうえで貴重な遺構であると考えられます。
ロクロ回転盤使用方法
▲ロクロ回転盤使用方法
 出土遺物の中で注目されるものは、木製品のロクロ回転盤で、材質にクリを用いて、中央の穴に軸を通し4本の支柱でつなぎ、支柱を足で蹴って回転台を廻して使うもので、この台を用いて土器を製作していたと思われます。
 このように野木遺跡は、平安時代のムラをまるごと調査した遺跡であり、数多くの新しい発見によって、当時のムラの構造を把握できる貴重な遺跡であるといえます。
【考古部会執筆編集員 成田滋彦】

※『広報あおもり』2004年7月1日号に掲載


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