あおもり今・昔119

碑文からみる青森市の歴史(7)−産業2

 前回は農業・牧畜に関係するものを取り上げたが、今回は、果樹栽培・漁業・林業と製造業・サービス業関係などを紹介する。
 本県における果樹栽培と言えばりんご栽培であるが、この事業が始まって100年を記念したのが青森県りんご百年記念碑(県庁前庭、昭和50年)である。
 りんごと並んで本県の重要産物であるホタテの生産額が、100億円に達したことを記念して建てられたのが「ほたて供養塔」(港町、昭和59年)である。
「篠原善次郎翁」胸像(合浦公園)
▲「篠原善次郎翁」胸像(合浦公園)
 また、野内川漁協設立30周年を記念した碑(野内川岸、昭和61年)、北洋漁業経営で功績を挙げた「大野政吉氏功勞碑」(荒川八幡宮、昭和9年)がある。
 林業関係では、「津軽森林鉄道碑」(沖館、昭和48年)、「寒水沢官行造林設定記念碑」(寒水沢、昭和34年)、ヒバ天然林施行法を確立した松川恭佐を顕彰する碑(東北森林管理局青森分局前庭、昭和56年)がある。「軒下まで国有林」と称されるように、青森県の広大な国有林の開発のために森林鉄道が敷設されたが、津軽森林鉄道もその一つである。
 製造業関係では、湾内で採れるイワシなどを材料として、油川で缶詰業を行ったイタリア人ファブリー「顕彰碑」(油川明誓寺境内、平成9年)が墓と並んで建っている。
 浅虫公園には「篤行者米田甚吉翁碑」(大正12年)がある。米田は明治年間に浅虫で製塩業を営んだ人物で、野内村村長などを務め地方自治の発展にも尽くしている。
 合浦公園にある「篠原善次郎翁」胸像(当初は昭和6年建立、昭和18年戦時物資供出で消滅、昭和31年再建)は、大正13年にバス事業を開始し、同15年に所有するバスと資金を市に寄贈することで青森市営バスの創設に尽力した篠原を顕彰した碑である(右の写真)。
【近・現代部会部会長 末永洋一】

※『広報あおもり』2003年10月1日号に掲載


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