あおもり今・昔63−自然よもやま話−

雪のいろいろ

 雪は、気温が低下して大気中の水蒸気が凝結したものですが、詳しく観察するとその姿・形はさまざまです。大別して、水蒸気が小さな氷粒の周りに結晶として成長したものと、マイナスの温度でも凍らない過冷却の水滴が、氷粒に触れて瞬時に凍りつき成長した(あられ)に分けられます。冷え込む夜にしんしんと降り積もる雪は結晶型であることが多く、寒冷前線が近づいて荒れ模様の空から降ってくる雪は、霰をたくさん含んでいることが多いものです。
▼雪の結晶
雪の結晶
▲写真提供:防災科学技術研究所 雪氷防災研究センタ−・石坂雅昭さん
 結晶の形は、よく目にする樹枝状のほかに、角板状、針状、鼓状、角柱状のものなどがあります。その形は、結晶が成長するときの温度と水蒸気量によって決まります。右の写真では、雲粒が樹枝状の雪結晶に付着しており、二種類の雪が見られます。
 また八甲田の樹氷は、過冷却の水滴が次々に樹木に衝突して凍結・成長したものですが、私たちが目にするのは表面に雪結晶が付着しています。樹氷ができるためには、多量の過冷却水のほかに、寒さと季節風と寒さに強い樹木が必要です。これらすべての条件を満たす地域は、蔵王と八甲田に限られているのです。
 太平洋側の冬の始めは、青い空からいくつもの雪結晶が重なり合ってぼたん雪が舞い降りてきます。日本海側では、空から降ってきた雪が地表近くで解け出した、雨混じりの雪(しぐれ)が冬の訪れを告げます。雪は七変化、ところ変われば姿・形も変わります。
【自然部会執筆編集員 力石國男】

※『広報あおもり』2000年3月1日号に掲載


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