あおもり今・昔52−自然よもやま話−

合浦海水浴場の今・昔

 昔と言っても今からほぼ60年前の合浦海水浴場は、子ども心にも視界を(さえぎ)るものがなく、ずっと続くきれいな砂浜であった。二人で手拭いの端をもちながら、波打ち際で引き返す波をすくうと、数匹の小さなエビ(おそらくシキシマフクロアミ)が採れたと喜んだ記憶がある。ときには海草(アマモ)で足に切り傷をつけることもあったが、「ホシ」が採れたと言って口の周りを紫色にしながらハスノハカシパンを食べたこともある。
ハスノハカシパン
▲ハスノハカシパン

にぎわう合浦海水浴場
▲にぎわう合浦海水浴場
 およそ20数年前には、そんな海水浴場に泥がたまり、砂場ではなく砂泥の底や泥底と化し、サナダユムシや多くの種類の環形動物(ミミズの仲間)などが見られるようになり、とても海水浴場とは思えない状態になったことがあった。
 今年、久し振りに海水浴場を見たら、波打ち際の「小さなエビ」は見つけられなかったものの、泥は無く、数種の幼魚、場所によっては重なり合っているハスノハカシパンが特に目についた。
 しかし、海水浴区域外に出ると泥混じりの砂底で、さらに防波堤に近付くと泥底になり、アマモが密生していた。多くの人びとの努力で何とか現状までに回復し、維持されてきているというのに、今だに所かまわず空缶、ごみ、煙草の吸いがら、花火の燃えかすなどを捨てる心無い人を見かけることもある。
 コンクリートの海岸線が続く中で素足で波打ち際に入れる唯一のこの海岸が、海水浴場としていつまでもちこたえられるのだろうか?もっときれいな海水浴場としていつまでも存続させたいと思うのは青森市民の願いである。
【自然部会執筆編集員 沼宮内隆晴】

※『広報あおもり』1999年9月15日号に掲載


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