あおもり今・昔51−自然よもやま話−

ヤマジノホトトギス

 ヤマジノホトトギスという植物がある。ユリ科の多年生草本で、私の大好きな植物の一つである。名前も良いが花の形と色が良い。
 花の色は白色に紫の斑が入り、それを鳥のホトトギスの胸にある斑点になぞらえ、また、山道でよく出会うので、この名が付いた。
 平成3年の5月中旬、三厩と小泊を結ぶ「みちのく松陰道」にオオサクラソウの写真を撮りに行ったとき、山道でヤマジノホトトギスの芽生えを見つけた。
ヤマジノホトトギス
▲ヤマジノホトトギス
 まだこの植物の写真を撮っていなかったので、開花期の8月中旬から9月上旬に、もう一度来なければならないと思っていた。しかし、青森市から松陰道までは遠く、多忙にかまけてなかなか行くことができなかった。
 が、チャンスは思いがけずにくるものである。
 平成8年に、青森市史編さん事業がスタートし、自然部会の執筆編集員を委嘱された。そして、調査協力員の張山さん、木村さんが八甲田山麓で、ヤマジノホトトギスがたくさん生えているところを見つけてきたのである。
 早速その場所に行き、心ゆくまで写真を撮ったのは言うまでもない。
 このほかにも青森市から遠く離れたところで見つけ、そこだけにしか生えていないだろうと思っていた植物が、青森市からわずか30分足らずの八甲田山麓一帯にたくさん生えているのを何種類も見つけている。
 八甲田は実に懐の深い山である。八甲田をもつ青森市は間違いなく自然の豊かなまちと言えよう。
【自然部会執筆編集員 葛谷孝】

※『広報あおもり』1999年9月1日号に掲載


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