あおもり今・昔50−自然よもやま話−

滝

 田代平に通じる道路を大滝平から駒込川に降りると上松沢発電所がある。そこから約500メートルほど川を下ると突然川が無くなり、地響きがするような水の落下する音が聞こえてくる。滝である。滝口から覗き込むと足がすくむほど高い。滝の下の方に降りると、そこには落差約20メートルの「大滝」が見られる。滝口の水の幅は約2メートルであるが、落下地点では8メートル近くに広がっており、滝壺の幅は30メートルにおよぶ。水量が豊富で落差の大きい大型の滝である。
 県内には、暗門滝(西目屋村)、松見ノ滝(十和田湖町)、くろくまの滝(鯵ヶ沢町)など有名な滝があるが、「大滝」はこれらに比べても見劣りしない。
大滝
▲大滝
 「大滝」周辺一帯は駒込川流域の中でも秘境と言われている場所であり、両岸は八甲田火砕流堆積物である溶結凝灰岩の標高差200メートル以上もある絶壁が続いている。
 この流域には「大滝」のほか5メートル〜20メートルの落差をもつ名もない多くの滝が随所に見られ、特に鳴沢が合流する付近の「三階滝(さんがいのたき)」はたどり着くのは容易でなく幻の滝といっても過言でない。
 青森市で見られる滝には、このほか野内川支流小川目沢に「月光滝(げっこうのたき)」、下折紙沢に「三重滝(さんがいのたき)」、荒川流域には「居繰ノ滝(いぐりのたき)」などあるが、「月光滝」は落差約5メートルの滝で現在も水行の場とされている。「三重滝」は名称のとおり3段の滝からなり、全体で落差約15メートル、上流から3メートル、6メートル、6メートルの滝が連なっている。1段目と2段目の滝の間隔は約10メートル離れているが、2段・3段の滝は連続している。また「居繰ノ滝」は下湯ダムに通じる路上から遠望できる落差約20メートルの滝である。これらの中で「月光滝」と「居繰ノ滝」は比較的容易に見ることができる。
【自然部会執筆編集員 佐藤巧】

※『広報あおもり』1999年8月15日号に掲載


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